我が家に戻って才賀に運ぶ予定だった懸糸傀儡の何体かを保管した倉に入り、一つずつ丁寧にギィ・クリストフ・レッシュの操作を帳面に記録し、不具合を観察しているとき、私の真横に直剣を杖のように構えたルシール・ベルヌイユが立つ。
「ケイ、お前の身体に生命の水は使えないのは理解したよ。気休めになるかは分からないが、西洋医学を学んだギィの診察を受ける気はあるかい?」
「……左之助さん」
「大丈夫だ。景の好きにして良い」
ルシール・ベルヌイユの言葉に戸惑い、私は縁側に座って私達の事を見つめる左之助さんに答えを求めるように視線を向けてしまう。
────すると、彼は私に委ねてくれた。
嬉しく思うし、優しいと思う。けれど。不安を吐露して以降、恵さんやドクトル・バタフライ以外のお医者様の診察を受けるのは初めてです。
だから、とても怖くて仕方ない。
「……では、お願いできますか?」
「ああ、承った」
ギィ・クリストフ・レッシュは格好つけているけど。ひとえに頭をよしよしされて、満更でも無さそうにしてるのが、すごく印象的です。
左之助さんはすごく睨んでいるのはあれですが、仲良くして貰えるのは嬉しい。しとりとひとえを手助けしてくれる人が増えるのは嬉しいです。
「しろがねの血を受け付けない身体か。どういう仕組みなのかも知りたいところだけど……」
私の事を見つめるギィ・クリストフ・レッシュの視線をうけつつ、あまり役立つとは思えない自分の身体の事を思って苦笑を浮かべる。
「イトシキ・ケイ、君の身体を自動人形破壊のために、この僕に調べさせて貰えるか?」
話が逸れている気がしますけれども。私は彼の言葉に頷いて、左之助さんとルシール・ベルヌイユに頼み、恵さんの経営する診療所へと向かう。
九能家の援助を受け、かなり大きいです。
「レッシュさん、ゆっくり歩かなくてまで大丈夫ですよ。ちゃんと着いて行きますから、ね?」
「ダメだ。見るからに栄養の足りていない君を置いて僕だけ先に行けるわけがないだろう」
そう言いながら私に手を差し出す彼の眼差しは私を捉えず、別の誰かを見ているように思える。実際、彼は私ではなく私の事を通して、自分の母親の事を考えているのかもしれませんね
「良い子ですね、レッシュさんは」
「っ、子供扱いしないでくれ」
「フフ、分かっていますよ」
ちゃんと大人の人と思っていますし、貴方の手腕も信頼しているつもりです。加藤鳴海を救った貴方の腕は信頼していますからね。