「景さん、それなに?」
「それとは?」
「足元をうろちょろしてるやつ」
「ああ、これは機巧人形の一種です」
そう言って私は廊下を歩く市松人形を模造した機巧人形の髪の毛を優しく撫でてあげる。コロ助を作ろうかと考えていたとき、なんとなく作ったものですね。
言語機能や記録能力はありませんが、私の動きを「
私の代わりに漫画を描け、「物語」を繋げる危険性を格段に減らすことの出来る良い子です。ただ、私の筆跡に似ないのが難点です。
「剣術も模倣できるの?」
「戦闘用に変更すれば可能ですけど。しませんよ」
「……まだ何も言ってないわよ」
「フフ、剣路君のために何かしてあげたいんですよね。分かりますよ、私もしとりとひとえのために出来る事は何でもいっぱいしてあげたいですから」
私はそんなことを呟きながら薫さんに笑顔を浮かべ、道場の真ん中で竹刀をぶつけ合う快音を響かせ、しとりの速さに追い付き、日に日に迫りつつある剣路君の事へと私と薫さんは視線を戻す。
通算207回目の試合を見てきました。
「
全勝無敗のしとりと、無勝全敗の剣路君。今回の試合、208回目にして、ようやく剣路君の一勝です。
剣路君の面を受けたしとりは暫しの沈黙の後、竹刀も籠手も外して、急ぐように面具を取ると手拭いで纏めた髪をそのままに嬉しそうに剣路君に飛び付いた。
「ん!ん!んー!けんちゃんの勝ち!」
「かった?かった、へへへ」
面具の紐を解いて、剣路君も顔を出す。
手心も手加減もしていないしとりに追い付き、乗り越えてしまった剣路君の努力は実を結び、こっそりと道場の中を覗いていた緋村剣心と明神君達も笑みを浮かべ、左之助さんも少し不満そうだけど。
剣路君との結婚は認めてくれそうです。
「ひーちゃん、見た!?」
「あい!けんちゃんの勝ちだった!」
「えへへ、けんちゃん強くなってた」
しとりは嬉しそうにはにかむ。
その笑顔に思わず、ほっこりとしてしまいます。私のお膝の上に座っているひとえも嬉しそうに笑い、しとりと剣路君の二人を見つめています。
「おう。ようやく勝ったんだってな」
「っ、おれはしとりに勝ちました」
「……ん。なら、良いぞ。ただし夫婦になるのは四年後の元服を迎えたときだ。手ェ出したらぶん殴るから覚えとけよ?」
「手も握っちゃダメなのか!?」
「父様、けんちゃんと手握っちゃダメなの?」
「剣心、オレを殴ってくれ」
「おろぉ」
二人の純粋な言葉に左之助さんが項垂れる。
まあ、そうなりますよね。
まだまだふたりは子供ですから。