もうすぐ斎藤一も警察を退職する時期ですね。
永倉新八と鷲塚慶一郎と連絡を取って、網走監獄に収監中の土方歳三のために秘密裏に準備を進めているのは及び知らぬところです。
第一、私の事を新選組に組み込もうとするのは止めて欲しいです。するのなら陸奥か不破を組み込んで、私の知らないところで戦って下さい。
「(原作開幕はしとりが二十五歳を迎えた頃ぐらいでしょうか。大人になった貴女を見ることが出来ないのは残念だけど。剣路君や左之助さん、ひとえ、みんなが貴女を見守ってくれますからね)」
スヤスヤと私のお膝の上に頭を乗せてお昼寝するしとりのおでこを優しく撫でてあげる。サンピタラカムイ様の神酒の効能によって神憑り的な強さを発揮できるひとえを超える、純然たる人の極致────。
いずれ、しとりも空に至るのでしょうか。
「良い子、良い子です」
貴女の未来に幸せが溢れていることを願うばかりです。いつかまた会えるなんていう輪廻を信じ、貴女たちの事をずうっと見守りたい。
「んっ…ん…」
「フフ、まだ寝てて大丈夫ですよぉ」
「阿呆が。寝過ぎは身体を鈍らせ硬くする」
「ひぃんっ!」
突然の言葉に、聞きなれた口癖の言葉に、私は情けない悲鳴を上げて、頭だけを動かして声の主である斎藤一を探していると障子越しに縁側の廊下に腰かける斎藤一らしき人の影が見えます。
「ん!はじめちゃん!」
「……年頃の娘とは思えん態度だな」
「純粋なんです」
「刀変えたの?」
「それは押収品だ」
さっきまで眠っていたとは思えない饒舌さに私はクスクスと笑いながら、怖かった斎藤一が今ではすっかり親戚の叔父様みたいだと思ってしまいます。
「糸色、どうにかしろ」
「しとり、斎藤さんが困っていますから」
「ん!」
「……全く相楽の様に敵愾心を向けろとは言わんが、男に対してベタベタと触るのは止めておけ。勘違いする男を量産して何をするつもりだ」
それは、わかります。
神谷道場でも同年代の男の子に見つめられたり、何かと稽古をしようと誘われたり、二人きりで遊ぼうなんていう会話も聞いたことあります。
まあ、ジェラシー全開の剣路君によって成功したことはありませんし。しとりも剣路君が誘われたときはムスッとしていたりします。
あのときのしとりは、いつも以上に可愛くて薫さんもニコニコと初々しくお互いの事を見つめたり、小さな嫉妬や不安を覚える姿を楽しんでいました。
「……今、良からぬ気配を感じたが?」
「気のせいだと思いますよ」