色々と起こりすぎていると思います。
しとりもひとえも左之助さんに似てきて、ほんの少し独占欲のようなモノを向けてきますが、私は普通の女なので怖いことは無理ですし、況してや増えるなんていうことは絶対にイヤです。
「暑い……」
「んー?」
「ねーさま、そこひーの!」
「どっちもお前らのじゃねえ。父ちゃんのだ」
ズルズルと娘達と個魔の方の影から私を引きずり出した左之助さんは、そのまま私の事を肩に担いで寝室の方に向かって歩いたかと思えば、布団に寝かせてくれた。
……しないの?と思った瞬間、顔が熱くなる。
そんなはしたないことを考えるなんて、私は何を考えているんですか。いえ、そもそも娘達も着いてきているのに、何をしようとしていたんです?
バカです、私はバカですっ。
恥ずかしさに顔を覆いたいのに、左之助さんがおでこに手を乗せているから顔を隠せず、羞恥心で顔を赤らめる私が、左之助さんに見られる。
「顔が赤いな、やっぱり風邪か?」
「……いえ、風邪ではないです」
「一応、恵のところで診てもらおうぜ」
そう言って私の頭を優しく撫でる左之助さんの手は大きくて耐え難いほどに温かいです。ずっと傍に居て欲しい。私は、そう思ってしまった。
好きな人と添い遂げる。
出会って、十三年という関係。
夫婦の期間は十一年。しとりとひとえという子供に恵まれ、これ以上を求めるのは欲深い事だと分かっている。だけど、やっぱり寂しいと思ってしまう。
「景?」
「……傍に、いてほしいです」
気が付けば、私は彼の手を握って、そんな事を言ってしまっていた。分かっている、分かっています。こんなことを言ってはいけない。
好きだから縛ってはいけない。
それなのに、私は何処までも浅ましい。
「安心しろよ。オレはずっとお前といる」
「そう、ですよね、ごめんなさい」
眼鏡を外され、ぼやける視界の先で何となく左之助さんが笑っているように見える。好き、好きです、大好きです、ずうっと傍に……。
しとりとひとえのためにこれ以上を欲しがる事はやめたはずです。好きだからと求めて、本当に私は何をしているんでしょうね。
「本当に、私は何なんでしょうか……」
「お前は相楽景だろ?オレの女房で、しとりとひとえの母ちゃん。薫と恵の友達で、剣心や弥彦とも友達、下っ端や馬鹿共の姐さんだ」
「……フフ、なんですかそれ」
思わず、笑ってしまう。
けど、そうです。そのとおりです。
私は、この世界を生きている相楽景です。
怖くても迷っても生きていける。
とても良いことです。