個魔の方となにやら物書きに励むしとりの後ろ姿を見ていたとき、しとりの周りに妖気が吹き荒れる。それも普通の妖怪とは隔絶してしまう程に強大な妖気です。
しとりと個魔の方は焦った様子もなく、私は平常時の出来事として捉えることにしました。
「一鬼、推参!!」
「ん!」
「久方振りに儂を呼んでくれたな、しとり!」
「あんまり呼べなくて、ごめんねえ?」
「ハハハハッ!!構わん!」
ドシンと地響きを起こす妖蛇「一鬼」の出現にこめかみを押さえて、ゆっくりと見上げると赤い目と緑色の肌を持つ彼は地面に座り、縁側に立つしとりの頭をワシャワシャと撫でています。
あの一鬼がしとりに優しくしています!
「ところで、その
「違うよ?わたしの母様だよ?」
「しとりの御母堂と言うわけか。そして、ドン、親分、ボスも久方振りだな。儂の居れぬ人里でしとりを守ってくれ、感謝する」
いつの間にか縁側に集まっていた三匹も撫でられて嬉しそうにしている。
……話には聞いていたけれど。
しとりの仲間になってくれた妖怪達の中で、
あの娘は、とっくに一人で歩いていける。
嬉しく思う。安心できる。
しかし、その反面、寂しいと思ってしまう。
ですが、それも大人になるということ。私は貴女達の成長をずっと見守っていますよ。
「母様、一鬼!」
「えぇ、聴こえていましたよ。初めまして、相楽しとりの母の相楽景です。妖逆門でいつもしとりを助けていただき、ありがとうございます」
「ウ、ウム、そう畏まるな…調子が狂う」
そう言いながら私の事を見下ろす一鬼のすごいところを本人がいるのに教えてくれるしとり。剣路君が聞いていたら、すごく嫉妬していますね。
「神仏の気配がするな、人間」
「えと、一応、形式上は私はサンピタラカムイ様の巫女を務めている事になります。しとりかひとえに引き継がれるかも知れませんが、そのときはどうか」
「相分かった」
ほうっと安堵の吐息をこぼす。
「しとり、儂らはお前を百鬼夜行の主と認めた。故に、名を刻む
「ん!これからもよろしくね、一鬼!」
「おう!任せておけ、儂はお前の鬼札だ!!」
そう宣言した瞬間、しとりの持つ白地の初めのページに一鬼の名前が刻まれ、表紙に冊子の名前が「奉加帳」の文字が浮かび上がる。
「夏目友人帳」に繋がってしまいましたね。