「左之助さん、今の女性は誰ですか?」
「知らん。オレの女はお前だけだ」
「ほんとうに?」
ニコニコと笑って、お弁当を手渡しながら左之助さんに問いかけると「オレの惚れた女は景だけだ」と言ってくれます。
でも、やっぱり不安に思ってしまいます。
後妻を迎えるのは仕方ないと考えますけど。
浮気は悪い文明です、浮気だけは許せません。浮気したら泣きます、あることあることを言いふらしてしまいうかも知れません。
「というか。お前、目の光どうやって消した?」
「いえ、消してませんけど?あと私のチョーカー返して下さい。首が寂しいです」
「ん、新しい金具を変えてたんだよ」
「新品みたいに鞣されてる」
ゆっくりとチョーカーを着けて貰っていると、私達のやり取りを見ていた町の人が「どっちも重いのね」とか「おしどり夫婦でいいじゃないか」なんて、聴こえるように揶揄している。
うぅ、油断しすぎてしまった。
「クク、みんなにバレちまったなあ?景がオレに骨抜きにされちまったなあ?」
「っ、しりません!」
ふんと顔を背ける。
「なんだよ、連れねえなあ?」
「知りません。おばか」
私のお腹に手を回して抱き上げ、肩に担ぎ上げると勝手に歩き出す左之んの背中をペチペチと叩くも止まってくれず、やっぱり楽しそうに笑っています。
最近の左之助さんはちょっと意地悪です。
私が恥ずかしいと言っているのに止めてくれないですし。なんだか、わざとらしく他の人に見せつけているように思えてしまう。
「景、お前をつけてた奴らがいるぞ。オレを叩くふりして人相覚えとけ」
「え?」
「多分、清国の奴らだろうぜ」
そう私だけに聴こえるように話す彼の言葉に戸惑いつつ、背中をペチペチと叩くふりを続けながら、人目を避けるように人混みの密集地を通り、私達と同じ方向に歩いている人達を見つける。
「(あの
そうグルグルと思考する私を抱き上げていた左之助さんは路地に入り、長谷川君と井上君、旭さんが棒を片手に笑っていた。
ああ、これはアレですね。
結構、前から居たんですね。
「「「臨時報酬ぅーーーっ!!!」」」
私と左之助さんを追ってきていた人達はボコボコと殴られ、あっさりと捕まり、旭さんによって手早く動けないように手足を縛り上げられている。
少し、可哀想に思ってしまった。
それにしても見事に頭を殴り抜きましたね。