「ただいまー」
「ん!ただいま!」
やっぱり、塀を乗り越えて帰ってきたしとりとひとえに物申したい気持ちを抑えながら、怪我も何もなく無事に帰ってきてくれたことに安堵する。
左之助さんも帰ってきた姉妹に安心し、私のお膝の上に頭を乗せるように寝転び、「あんまり無茶するなよ」と言って目を瞑った。
そんな左之助さんのツンツンした頭を優しく撫でて、しとりとひとえと個魔の方に手洗いとうがいをするように告げ、三人とも台所に向かいます。
みんな、良い子でお母さんは安心です。
「景、塀の上に変なのが見えるぜ」
「アレは翁化した般若さんです」
「隠密下手になってねえか?」
いえ、あれはあれで役立っています。
そう塀の上を、さながらタタリ神のごとく四つん這いで駆け回る翁面を被った長身の男性。絵面はほとんど怪異そのものですが、わざとやっていますね。
いつか、お化け屋敷といわれそうです。
「ん!母様、お土産あるよ」
「かーさまにあげる!」
「あら、なんですか?」
ニコニコと笑って差し出してきたのは、少し変わった気配を放つビー玉サイズの水晶玉でした。河原に行っていたのでしょうか?と首を傾げつつ、水晶の中に見える妖怪の気配に苦笑を浮かべてしまった。
「石か?……すげえな、個魔が見えるぜ」
「え?」
「父者、本当に見えるのか?」
「ん?ああ、まあな」
「……成る程、この世のものを透し見る事の出来る不思議な水晶の玉というわけですね。(見た目は普通のビー玉みたいだけど、妖怪ウォッチの『ふしぎなビー玉』にそっくりなんですよね)」
まだ、あれは描いていませんけど。
妖怪を見る手段として作るというのは「あり」なのでしょうか?と考えつつ、奉加帳に使い方を記してあげたほうが良いのかと悩む。
あとで、しとりに聞きましょうか。
「かーさま、うれしい?」
「えぇ、嬉しいです。ありがとう」
「んへへぇ」
「ん!わたしも褒めて!」
「フフ、良い子ですねえ」
よしよしと二人の頭を撫でながら個魔の方に微笑み、手招きすると少し恥ずかしそうに頭を差し出してきた彼女の頭を優しく撫でてあげる。
どうか、これからもしとりとひとえの守ってください。二人とって貴女はお姉ちゃんで、私達にとっても貴女は大事な大切な娘です。
三姉妹ですね、良いことです。
「も、もういい」
「こまちゃん、顔赤いねえ」
「ねー」
「くっ。辱しめを受けているわね」
ただの照れ隠しじゃないかな?と思いながら左之助さんを見るとドンの事を水晶越しに見つめています。ドンはドンですよ?