午前五時半ぐらい、ゆっくりと身体を起こす。
眠気に揺れる頭を支え、眼鏡を掛ける。
浴衣を脱いで、着物に着替える。
帯を閉める。
台所で洗顔、歯磨きを終えて、袖の内側に存在する四次元空間の中に仕舞っていた粉薬を取り出して、口の中に流し込み、ほろ苦さを舌の上で感じる間に水を口に含み、少しずつ薬の解けて混ざった水を飲む。
割烹着に着替えて、朝御飯を作る。
五人分のお米を水で磨ぎ、お釜にお米を移してガス焜炉の火を付けて蓋を閉じる。豆腐を切って、じゃがいもの芽を取り除き、皮を剥いて半分に切って、更に半月の形に切って、鰹節の出汁をお鍋に注ぎ、水を加えて、豆腐とじゃがいもを入れて煮えるのを待つ。
その間に三つの七輪を取り出して、炭に火を点けて団扇でパタパタと扇いで温度を高めつつ、金網を敷いて、その上に左之助さんが昨日貰ってきた秋刀魚を乗せる。
パチパチと油で炭火が弾け、じゅうじゅうと魚の焼ける匂いで起きてきた。ドンと親分、ボスに七輪を見守って貰う間にお味噌をお玉で掬い、ゆっくりと出汁と合わせるように混ぜて溶かす。
みんな、賢いので摘まみ食いはしません。
そう思っていると枕を引きずって歩くひとえが料理場の縁までやって来て、ポワポワとまだ眠たいのに起きてしまったようです。
「あらあら、起きちゃったの?」
「……んぅ…かぁさま、だっこぉ…」
「フフ、良いですよぉ」
手を洗って水気を手拭いで拭き取り、割烹着を脱いで料理場の縁に腰掛け、ひとえに膝枕をしてあげる。四次元袖の中に手を入れて、ひとえが寒くないように普通の毛布を掛けてあげる。
直ぐにまた眠り始めたひとえの傍にドンと親分、ボスを呼び、足の汚れを拭き取ってから見守って貰い、焼けた秋刀魚を裏返してまた待つ。
料理のときは疲れないのは慣れなのか。
はたまた『料理のスキル』によるものなのかは未だに謎ですけど。そう思いながらお釜のお米も炊けたと私の目は認識し、いそいそと準備を進める。
気がつけば、もう六時十三分です。
お櫃に炊き立てのお米を移して、居間の方に運ぶ。お味噌汁のお鍋も持っていき、焼きたての秋刀魚はお皿に盛り付けて、大根おろしを添える。
ドンと親分、ボスのご飯も秋刀魚です。
妖怪なので骨ごと食べてしまいますし、食品型のひみつ道具「グルメン」を三びきの愛用するお皿に盛り付けてあげます。
流石は万能ペットフードです。
ただ、どうにも三びきが気に入りすぎている気もするんですけど。太りすぎたりしませんよね?
「くあぁ……景、大丈夫かぁ?」
「おはようございます、左之助さん」
「ん、おはよ」
キリッとした左之助さんも好きですけど。こういう寝起きの気の抜けた左之助さんも好きです。かっこいいけど、ソーキュートです♪︎