朝食を終えて、のそのそと歯磨きを始め、洗顔し、のそのそと動き始める左之助さん、その後ろをヒヨコのように寝惚けて着いていくしとりとひとえは可愛いです。とってもソーキュートです。
「…ん?」
「んー」
「あいぃ」
ご飯を食べて眠気を増してしまったひとえは廊下に座り、スヤスヤと眠り始めてしまい、重たく大きく育った彼女を抱き上げ、寝室に向かう。
起きるのはいつでも構いません。
「くぅ…んみっ…」
パタパタと手を動かしたかと思えば、ぎゅうっと私の事を抱き締めるひとえに「あらあ、どうしましょうか」と呟き、彼女の事を抱っこしたまま寝室の畳に座る。
「ん、しとりも、だっこ」
「え?あらあ……」
のっしりと私の背中におぶさってきたしとりにビックリしながら、彼女の事を受け止めつつ、あまり危ないことは出来なくなりました。
いえ、そもそも今日も動けない?
「景、オレの鉢巻きどこ……何してんだ?」
「いつものことです。あと鉢巻きなら私の眼鏡の箱の隣に置いていますよ」
「そうか。ありがとな」
「フフ、大丈夫ですよ。それから、いってらっしゃい」
「おう。いってくる」
ヒラヒラと手を振ると、左之助さんにワシャワシャと私から順番に頭を撫でられる。そういう、ちょっとしたところが好きっ。
「……しとり、そろそろ稽古の時間ですよ?」
「けーこぉ?……ん!起きた!!」
「んみっ?!」
しとりの大きな声に可愛い悲鳴を出して、パチクリと目を見開くひとえの口許のヨダレを拭いてあげ、寝間着の浴衣から胴着に着替えたしとりは「ん!今日はかっちゃんも来る!」と笑って神谷道場へと向かう。
「ね、しゃま、ひも、いくぅ」
「フフ、あとで行きましょうね」
よしよしとひとえの頭を抱き締めながら優しく撫でてあげつつ、布団に寝かせよううとするも抱きついたまま離れず、無理に離そうとしたら、袖を千切られる可能性もありますね。
「ひとえ、お母さんを離してほしいです」
「んやっ」
「ひとえちゃん、おねがい。ね?」
「やあ!」
「えぇ?」
ワンパクに育ってきた愛娘の癇癪に苦笑を浮かべながら仕方ないと割りきって、眼鏡を外して、ひとえと私が一緒に使っている布団に寝転び、トントンとお腹を優しく叩いて、眠りやすいろうにリズムを作ってあげる。
しかし、よく寝る子は育つと言いますけど。
ひとえは育っているのでしょうか?と自分の身体とひとえの身体を見比べる。あ、あまり変わらない?うそ、私って薄くて細いのは自覚してますけど。
幼児と、変わらない……?