「景、ん?おい、此方を見ろって」
「ひぃんっ」
私の事を後ろから抱きつくように押さえ、怒りを顕にする左之助さんに半泣きになる。怖いです。そういうのはダメです。私、泣いちゃいます。
「母様、助ける?」
「ねーさま、うごいちゃめっ!」
「ん!動いてない」
「んへへぇ」
ひとえを抱っこしているしとりも私と同じように困ったように笑い、どうしようもなく困った顔を作っているばかりで何も出来ていません。
本当に、困りました。
私が悪いのは分かっているんですけど。娘達の目の前で首筋を噛んだりするのは止めてほしい。悪影響だと思いますし、しとりもひとえも真似したら危ない。
あと普通に恥ずかしい…っ。
「なあ、本当に分かってるのか?お前の身体であんな無茶を続けてたら、死期を早めるって恵やオッサンに言われてたろ?」
「……分かっています。だけど、あの外印の狙う存在は私と緋村さんです。復讐の対象として選んだ理由までは分かりませんけど」
本当に狙う理由は不明。
ドクトル・バタフライの研究成果を盗んでいたのならドクトル・バタフライを狙う筈ですが、私と緋村剣心を狙ったという現状を察すると、外印はドクトル・バタフライに負けた理由を私達の存在によるものだと思っている可能性があるということです。
「左之助さん、こういうときに復讐の相手を変える事ってありますか?」
「あ?あー、ねえんじゃねえか?」
「……そう、ですよね」
私と緋村剣心を狙う理由さえ分かれば良いんですが、そもそも私は外印の被害者であり、緋村剣心も外印の被害者だったわけなのですけれど。
「景を狙う理由は知識だろ。あの変態も景の頭の中に詰まってる知識を狙っていただろう?」
「それが妥当な答えですね」
しかし、私の知識だけなら緋村剣心を狙う必要はないと思うのですが?と首を傾げながら悩んでいると、頭の上に左之助さんの顎が乗る。
「重いです」
「重くしてるからな」
「気を付けて下さいね?顎で人を刺したという事件もあるんですから」
「おう、おう?ん?待て、顎で人を刺した?」
「(どうやって身を守るかを考えないとですね。ひみつ道具に頼ってしまえば簡単ですけど。少し考えをまとめて、ドクトルやみんなと話し合わないと……)」
「景、顎でどうやって刺すんだ?」
「(やはりシェルター系のひみつ道具を何重にも重ねて、私のモヂカラを合わせて強固な場所を作るのが最適解と考えるのがベストですけど)」
そんなことで補えるのか怪しいですね。