某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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古い傷 序

「よし、こんなもんだろ」 

 

呂虔の手足を痛めない程度に縛り、折れた右足を固定する添え木と包帯は綺麗な物に変えて、折れた骨は骨の折れ目を合わせてくっ付きやすくしています。

 

「糸色殿を狙うとは運の悪い男でござる」

 

「しかし、景の姉ちゃんを狙うって事は外印とかいう爺の仕業で間違いないんじゃねえか?」

 

緋村剣心の言葉に続けて、明神君も私の話した可能性の話を告げる。実際に襲ってきた上、私の容姿も知っているという事は出会った人なのは間違いありません。

 

外印。

 

私の理解者を自称する機巧芸術家(からくりあるていすと)。実態は自分の事をフェイスレス(ディーン・メートル、又は才賀貞義、あるいは白金)だと思い込んでいる妄想と現実の境界線の混ざってしまった。

 

いわゆる、重度の中二病です。

 

人形を造形する人間が、自分を物語の中の人物だと思い込むなんて皮肉にも程がありますけど。おそらく外印本人は全く懲りず、未だに自分の事をフェイスレスだと思い込んでいる可能性はあります。

 

「起きるまで待つとしてだ。景、コイツの事をルゥジァとか呼んでたな?今回もお前狙いの男だぞ(・・・・・・・・・・・)、えぇ?」

 

「ひぃんっ…!」

 

「景さんが悪いわね。左之助に隠し事するなよって言われてたのに、今回も内緒にしていたから、こうして狙われているわけだし」

 

「景の姉ちゃんは黒幕だから仕方ねえって」

 

「そうでござるよ」

 

わ、私は黒幕じゃないです。

 

「ん!わたしも母様の内緒にしてるの聞きたい!」

 

「おれも聞いてみたい」

 

しとりと剣路君も混ざって私の事を真剣に見つめてきます。うぅ、夫に頬っぺたを弄ばれる母の事をそんなに強く見つめないで下さい。

 

で、でも、内緒にしていたわけじゃないです。

 

「呂家は蒙古に居るときに聞いたものですっ。左之助さんに隠していたというわけではなく、左之助さんが忘れているだけですからあ!」

 

うぅ、これ以上頬っぺたを虐めないで……。

 

「蒙古?」

 

「もんごるって、どこよ」

 

「大陸のほうでござるよ。幕末の頃、そういう話を聞いた覚えが幾つか……いや、あれは大陸の相撲の話でござったか?」

 

「それは、蒙古相撲の事ですね。ブフと呼ばれる格闘術で、日本の古式相撲と同じく対峙し、相手を粉砕するまで終わりなき立ち合いを求めます。ただ、違うのはブフの強さは民族間の序列を決めることもあることです」

 

「道理で勝ったら褒められるわけだぜ」

 

婿に婿にとうるさくて私は嫌いでしたけどね。

 

左之助さんは私の夫です。

 

 

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