「
「日本語でお願いします」
翻訳して伝えるのは大変です。
まあ、武田観柳と一緒に仕事していたときは通訳のお仕事も請け負っていましたけど。ここ数年は「ほんやくコンニャク」に頼ったりしています。
意外と美味しく作っているので、たまに左之助さんの晩酌のお供にされているところを見たときは流石に困りましたけど。
「俺を捕まえてどうする。情報は吐かんぞ」
「安心しろ。別に情報欲しさじゃねえ、怪我人を置いて死なれたら目覚めが悪いだけだ」
「糸色景の策略だな」
まるで、私が悪いように言うのはやめてもらえますか?そのままだと私が怪しいことをしているみたいじゃないですか。また、勘違いされるでしょう。
───とは言え。
助けようと言ったのは私です。
「景の作戦ではあるな。お前を捕まえて情報を搾り取って、あとは改造して兵器に一直線だ」
「え?」
「可哀想でござるが、お主が吐かねば親族を奪われ、お主の目の前で物の怪に作り替える瞬間を見せることになるでござるよ」
「え?あの?」
「くっ、それが貴様のやり方か!」
「えっ、ち、ちが……コホン、違いますよね?左之助さんも緋村さんも悪ふざけは止めて下さい。本当にいきなりすぎて薫さんも明神君も固まっていますよ」
そう言いながら左之助さんの背中をペチペチと叩き、黒幕扱いした事を注意します。怒るべきなんでしょうが、わざとらしく笑っているので冗談だと分かりました。
二人ともそういうのは悪いことです。
「呂虔さん、貴方の家族に手出ししません。だから、私の事を狙っている人の事を教えてくれませんか?」
「お前の事は信用できない。だが、俺に勝ったその男の事は信じよう。相楽左之助、お前の質問は少しだけ、答えられるものを答えよう」
「……薫さん、私って信用できますよね?」
「うーん、親しければ信用できるわよ?」
無条件に信頼できる要素はなかった。
つまり、そういうことですね。
それはそれですごくショックですけど。
「景、ワイインってのはどういう意味だ?」
「ワイは外や歪みを意味し、インは影や音、印を意味する言葉ですけ…ど…、ワイイン、外印の向こうでの呼び方と考えたほうが良さそうですね」
本格的に外印の生存の確率は高まってしまったわけですが、ドクトル・バタフライはどうするのでしょうか。一度殺めた自分のお友達をまた殺さなくてはいけない。
そんな苦行を続けていたら、彼の人間としての心は酷く希薄になってしまうかも知れない。