ホムンクルス製造法は個人の技術によって異なるものの、ドクトル・バタフライと外印の二人はヴィクター・パワードという最高峰の錬金戦士の技術を学び、そして成果を掠め取るように外印はドクトル・バタフライの研究手記を盗み、私達に機巧人形を披露していました。
「(自己顕示欲と承認欲求の強すぎる中二病というのは些か盛り過ぎている気持ちもありますけど)」
モヂカラを使えて、『地獄の鍵』を宿し、物語を紡いで世界を繋げる私は十二分に中二病の素質はあるのかも知れませんけど。
私は自己顕示欲は少ないですし、承認欲求もあまりありませんね。子供と戯れている左之助さんに構って貰えないときは嫉妬はしますけど。
それぐらいですし、あとは特にないです。
「また変なこと考えてるな?」
「今日はまだ何もしてませんよ」
「なんかするつもりか?」
「何もしませんよ」
そう言いながら書斎の本棚に新しく書き終えた「大百科」の冊子を加えます。
ただ、この「仮面ライダー」関連の技術書を此方で読めるのは私の眼鏡を持っている人だけになるので白紙の冊子という扱いになります。
私の本を売ろうとしなければ何も危ない事はないけれど。世の中に売り出され、認知されてしまえば「物語」は繋がってしまう。
「……何も書いてないのか?」
「フフ、ちゃんと書いていませんよ。左之助さんの目ではなく見えなくても……どうぞ」
口で答えを教えるより体験して貰ったほうが面白いかな?と考え、私は眼鏡を外して左之助さんに差し出しながら「眼鏡を掛けてみて下さい」と伝える。
「? どうなってんだこれ?」
「特殊なインクを使って、その眼鏡の屈折率でなければ読めないように仕掛けを施しているんです。その本を読めるのは私か私の眼鏡を持っている、私と貴方の子供だけになりますね」
私の言葉に「確かに形見として残るものなら、よく使われるか」と納得してくれましたけど。ベシッ!とおでこに痛みを感じ、おでこを押さえる。
「いうっ、うぅ……!」
「阿呆が。自分の形見を作ろうするんじゃねえ」
でも、もうすぐでしょうし……。
形に残って、ふたりに覚えていてもらえるものなんて眼鏡か着物、あとは写真だけで他に私の事を残せるのは漫画やそういったものばかりです。
「しとりとひとえに覚えていて貰えるものは沢山残しておきたいんです。左之助さんにも、しとりとひとえにも、みんなにも忘れて欲しくない」
忘れられるのは、怖くて恐ろしい。
だから、せめてもの贈り物です。