ドクトル・バタフライと左之助さん、緋村剣心の三人と一緒に私は外印の使っていたという工房へと来ています。もっとも十年以上も放置され、老朽化した建物は埃っぽくて目新しい物は何もありません。
「フラスコと培養装置を放置か……フッ、私に心臓を貫かれてあのまま死んだとばかり思っていたが、ヴィクターの譲ってくれた核鉄を隠し持ち、自分自身に延命処置を行っていたのは事実の様だね」
「ドクトル殿、悲観するのは構わぬでござるが此方に散らばっている人骨は何でござる」
「
そう静かに告げたドクトル・バタフライは散乱する人骨をチャフを使って一つ残らずかき集めると、ひとりで外に向かってしまった。
慌てて、私達は追いかけて、工房の外に出ると地面を掘り返して人骨を埋めるドクトル・バタフライの後ろ姿しか見えませんでしたが。
すごく怒っている事は理解しました。
「ドクトル殿、隣に失礼するでござる」
緋村剣心に続き、私と左之助さんも外印の欲望によって失われた命の冥福を祈り、閻魔大王様に幸せな輪廻転生を願って、私はお墓に手を合わせる。
「………左之、ドクトル殿、外印のやろうとしている事は絶対に阻止しなければならぬ。糸色殿、今一度だけお主に助力を頼むでござる」
その言葉に思わず、ビクリと身体が跳ねる。
私は戦ったりした記憶は皆無なのですが、緋村剣心の中だとやっぱり私は黒幕のまま変わっていないということですね。
ずっと、そうなんじゃないかと思っていましたけど。この予想は当たって欲しくなかったです。けど、それだけ緋村剣心は私の事を信頼しているということ。
そう言う風に思えば問題ないですよね?
「剣心、景は戦えねえぞ」
「知っているでござるよ。拙者が頼りたいのは戦いの強さではなく、糸色殿の知恵でござる。外印の目的も彼女の知識なのは明白……ならば、その知恵を此方も頼ってしまえば良いのでござる」
おどけた顔でも抜刀斎の顔でもなく緋村剣心としての顔つきでそう言ってきた彼の言葉に、ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、平常心を保ちます。
さすがに、予想外の展開でしたから……。
────とは言え、彼の意思は理解しました。
「分かりました。出来るだけ、緋村さんのご期待に添えるように頑張ってみます。左之助さん、少しだけ許してもらえますか?」
「………………はあ、わかった。無茶はするなよ?」
「はい、ありがとうございます」