山県卿と川路大警視の帰宅後。
左之助さんに腰を両手で包むように掴まれ、困惑していると「やっぱり細すぎるよな?」とブツブツと呟き、虚空をなぞるように手を動かしています。
とりあえず、左之助さんが元に戻るまで仕事を休憩し、しとりとひとえを呼びに図書館の扉を開けると、絵本と漫画の山が出来ていました。
「しとり、これは……」
「ん!いっぱい、読んだらこうなった!」
「かーさま、ひーもお空飛びたい!」
「あらあら」
ひみつ道具のカタログと設計図を抱えたひとえは本を開き、ひみつ道具の中で最も有名な発明品である「タケコプター」を指差し、期待の眼差しを向けてきます。
かわいい、ソーキュートです。
「かーさま、だめぇ?」
「……フフ、良いですよ。ただし、明るくて天気の良い日にしましょうね。もう夕方ですから、しとりとひとえが見えないとお母さんは心配です」
「ん、わたしも母様と一緒にいたい」
そう言って私の袖を握るしとりの頭を優しく撫でてあげ、ひとえの頭もゆっくりと撫でてあげる。二人とも実は私に似て怖がりさんなのでしょうか?
「ん!もっと撫でて」
「ねーさまばっかりずるい!」
「ん!これはお姉ちゃんの権利!」
「むうぅ!」
可愛い二人の言い合いというよりじゃれ合いにクスクスと笑い、私は二人の事をぎゅうっと抱き締める。ちゃんと最後まで自分の自由に生きてほしいです。
しかし、本当に悩ましいです。
二人ともこんなに可愛いなんてズルいです。
ソーキュートです。
私の愛娘達は大きくなったらきっと私なんかとは比べ物にならない美人さんになります。
「お前ら、こんなとこに居たのか」
「ん!父様、お仕事終わったの?」
「おう。終わったから抱っこするか?」
「んーん、わたしは母様がいい」
「じゃあ、ひとえだ!」
「んにゃー!」
ひょいっとひとえを抱き上げた左之助さんの頭に抱きついて、可愛らしく抵抗するひとえの姿に、ほっこりとしながら彼女が落ちないように、しとりと一緒に見つめてしまう。
「んー!んー!」
「ぐおおおおぉぉぉぉっ!!!?腰が、腰が折れる!暴れるなひとえ!?落ちるぞ!落ちるから暴れるんじゃないぞおっ!」
「やぁーっ!!」
左之助さんの必死の抵抗空しく、ゴキッと鈍い音が響き、海老反りの格好で動きを止めた左之助さんから、ひとえを受けとるとき、左之助さんな目尻に涙を溜めているのが見えました。
ぎっくり腰になっちゃったんですね。
「えと、あとで按摩してあげますね?」
「頼む…腰が、痛てぇ」