「おー!」
「どういう原理で飛んでるんだ?」
タケコプターを頭につけて、空を飛ぶひとえの真横を同じように飛ぶ左之助さんを見上げつつ、二人が離れないように、しっかりと手綱は渡しています。
しとりは珍しく付けるかどうかを悩み、可愛らしくウンウンと唸っています。私は、タケコプターでも酔うから使えませんね。
「怖いですか?」
「ん、んー、すぽーんてぬけない?」
「抜けはしないですけど。怖いなら図書館の中で、使ってみますか?お外より狭いですけど、二階建てのハウスですし」
そう話しながら縁側の支柱に括り付けた縄を見る。左之助さんとひとえの手と繋がっているのでこれを外したら、とても危ないです。
「母様、お空で刀って振れる?」
「タケコプターでなら大丈夫でしょうが、危ないからしちゃダメですよ?」
もっとも、そんなことを言わなくても良い子のしとりは分かっているでしょうし。危険と思ったら直ぐに離れるか逃げるように言っています。
まあ、左之助さんは殴れとも言ってますけど。
「ねーさま、さかさま!」
「ん!ひーちゃんが逆さま!」
「すげえな。よく飛んでるぜ」
「とーさま、もっと上行きたい!」
「だめだ。母ちゃんと約束したろ?」
「むう、あい……」
渋々と頷くひとえ。左之助さんが一緒に飛んでくれなかったら本当にどこまでも飛んでいってしまいそうで、すごく心配になってしまう。
私は飛べないから余計に心配です。
「ねーさま、だっこぉ」
「ん!ん?!ひーちゃん、頭危ない!!」
「うー、だっこ!」
「んっ!!」
ぷくーっと頬っぺたを膨らませたひとえはタケコプターを頭に付けたまま突撃し、紙一重の間合いで躱したしとりはタケコプターを取ると同時にひとえを抱き締めた。
「危ないことしちゃダメなんだよ?」
「むう」
少しだけ名残惜しそうなひとえの頭をよしよしと優しく撫でているしとりの姿を微笑ましく眺めていると、いつの間にか降りてきていた左之助さんがタケコプターを外し、家の柱に付けた。
「流石に一つでは無理ですよ?」
「まあ、そうだよな」
「あと屋根に危ないです」
普通に瓦だけで飛びますからね。
「……左之助さん、その首に巻いているのは?」
「ドンだ。ひとえが心配だったのか、ずっとオレの首に巻き付いて、あいつの事を見まもっててくれたんだ。ありがとう」
「フフ、ありがとうございます。ドン」
よしよしと彼の頭を優しく撫でてあげる。
我が家の妖怪達はみんな優しいです。たまに知らない妖怪を連れてくるのは困りますけど。