外印のやろうとしていることは「人体錬成」ではなく「人体生成」。あくまで遺骨や墓土を用いて行う死人生成に類する行為です。
「犬夜叉」の桔梗のように血肉の代わりに土くれの身体を与えるわけです。ただ、その程度の呪縛など戦骨は容易く乗り越えてきます。
「(左之助さんには教えられませんね)」
下手したら私に使おうとするでしょうし。血の通わぬ身で、娘達を抱き締めるなんて恐ろしい事は私には絶対に出来ない。
「左之助さん、左之助さん」
「んー、どうした?」
ひとえと手押し相撲(ハイタッチしているだけに見える)をしている左之助さんに話しかけた瞬間、軽やかにひとえの手のひらは彼の胸に届いた。
ひとえの勝ちですね。
「かったー!」
「おー、偉いぞひとえ」
「んへへぇ」
ワシャワシャと抱っこされながら頭を撫でて貰っているひとえは嬉しそうに笑い、ニコニコと頬を緩めに緩めて、とっても可愛いです。ソーキュートです。
やっぱり、愛娘は可愛いですね。
「で、どうかしたのか景」
「え?ああ、えっとですね。そろそろ一人でお買い物に行っても良いんじゃないかと思うんですよ」
「ダメに決まってるだろ」
「あ、そ、そうですよね……」
「……何買うつもりだったんだ?」
「大根を買おうかと」
「大根?なんでだ、まだあるだろ」
いえ、テクスチャを書き換える最強の魔剣大根ブレードを八百屋さんで吟味し、買おうかと思っているだけで、怪しいことはしませんよ?
…………私は何を?
「景、風邪か?」
「いえ、熱はありませんし」
あるとしたら知恵熱でしょうか。
ここ最近は考えることが増えましたら、その影響なのかも知れませんね。普通に考えると、なんですか魔剣大根ブレードって?
私は、いったいなにを?
「ひとえ、布団敷いてくれるか?」
「あい!かーさま、動いちゃだめだよ?」
そう言って寝室へと向かうひとえの背中を追いかける前に左之助さんに捕まり、おでこや首、喉の奥まで見られ、顔が熱くなってしまいます。
戸惑う私を抱き上げ、廊下を歩いて寝室に入ると私の布団に潜り込み、ニコニコと笑って待ち構えるひとえがいました。
可愛いです。
「浴衣に着替えるぞ」
「え?あ、自分で出来ますから」
「良いから気にするな」
そう言って私の帯を解き、着物を脱がせて浴衣を羽織らせてくれた左之助さんに「ありがとうございます」とお礼を言いつつ、バンバンと布団を叩いて、速くとアピールするひとえに苦笑を浮かべてしまう。
やっぱり、私の愛娘達は可愛いです。