私の隣に座ってきた楯敷君の事を警戒しつつ、急須のお茶と大福を差し出すと「どの時代でも糸色は飲み物に拘るな」と呟く。
他の糸色というのは、私の子供達の事なのでしょうけど。私みたいに日によってほうじ茶や麦茶、千振茶などを飲んでいるということは分かりました。
「楯敷君、三つの支柱は分かりました。ですが、私に宿った『物語を繋げる能力』の説明はどうなるんです?貴方はずっと欲しがっていますよね」
「ドクトル・バタフライは隠しているが、アイツもオレも似た能力を持っている。オレの場合はオーロラカーテン、『並行世界を渡り歩く能力』だ」
仮面ライダーディケイドこと門矢士と同じくショッカー首領に相応しい能力だと理解していますし、彼以外にも数人の移動能力者は存在しています。
「そして、あの蝶々は『並行世界を観測する能力』だ。同一個体と意識を繋げ、その世界の情報を得る。言わば『家庭教師ヒットマンREBORN』の白蘭と似た能力を持っているわけだ」
成る程、だから向こうの情報を知っている。
ドクトル・バタフライの教えてくれなかった理由は並行世界の事を理解し、私も似た能力を得てしまう事を危惧していたんでしょうね。
「では、私の能力は交さんのためですか?」
「………………そうだ。交は他の世界と違って、唯一『仮面ライダー』の世界だけに存在している糸色だ。糸色切の子供は糸色佳だけだった。しかし、他の世界と違って『糸色交』は糸色佳の妹として誕生している」
「転生者ではないんですね?」
「ああ、アイツは転生者じゃなかった。楯敷ツカサに対抗する手段として生まれたんだ。最初は打算、次は信頼、最後に愛情を貰って、オレはもうアイツから離れることは絶対に出来ない」
「フフ、ドクトル曰く糸色の女と関わる人は大体重くて暗い感情を向けているそうですよ。楯敷君もずいぶんと愛しているご様子でお母さんは嬉しいです」
そう言って楯敷君の頭を撫でてしまった。
いつも私の能力を狙う彼も今は私の娘とお付き合いして、彼女の未来を真剣に案じている、とても優しくて良い子だと思えますから。
「……アンタ、本当に無防備過ぎるぜ」
深い溜め息を吐いて、楯敷君は立ち上がると古びたカードを差し出してきた。ライダーカードとは違うカードにさしだけビックリしながらも受けとる。
「ガオウライナーのフリーパスだ。もしも能力を捨てたくなったら話しにこいよ。此方のガオウが相手になるってハヤタロスに伝えとけ」