某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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改悪の手 急

ゆっくりと身体を動かす。

 

ストレッチのような柔軟体操ではなく、健康を維持するために最低限の運動を繰り返している方に近しく、左之助さんの補助も受けている。

 

「んッ…よっ、くぅ…!」

 

「届いてねえなあ…」

 

「ゆ、指先は届いてますよ」

 

あと、帯もあるからです。

 

そう言い訳じみた事を呟きつつ、ストレッチを終える。ここ数日ほどずっと寝た切りでしたから筋肉をほぐしたり、色々とやっています。

 

一番、重要なのは指先のストレッチですけど。

 

岸辺露伴先生の指先ストレッチ。アレを繰り返しておけば指先の固さはほぐれ、とても動かしやすくなるのは事実です。

 

「景はやっぱり細いな」

 

「……ちゃんと食べてますよ?」

 

「心臓の音がよく聴こえるぜ」

 

私の胸に顔を押し付けて、左之助さんはそう呟く。確かに薄いし、細いですけど。ちゃんとありますよ、着物を着るとき、多少は盛ってますけど。

 

「左之助さん、髪の毛がチクチクしますね」

 

「? なんでだろうな」

 

静電気のせいかも知れませんし、空気が乾燥しているからも知れませんし、はたまた別の理由かも知れません。でも、私は左之助さんの髪の毛大好きですよ。

 

「かーさま、入っていーい?」

 

「いいですよぉ」

 

「! むうぅ!!とーさまズルい!」

 

「フッ、これは父ちゃんの権利だ」

 

「ひーもぎゅうする!」

 

プンプンと可愛らしく怒るひとえは左之助さんの頭をペチペチと叩いたり、引っ張ったりして動かそうとするも、左之助さんは私に抱き付いたままです。

 

「かーさま、ぎゅうして?」

 

「フフ、いいですよお」

 

左之助さんの頭を撫でていた手を止め、ゆっくりとひとえの事を優しく撫でてあげる。抱き締めるものの、左之助さんの頭を挟む形になり、なんだか恥ずかしい。

 

「……ひとえは景に似てるな」

 

「左之助さん、私はひとえほど無邪気になったことはありませんよ?それに、私はひとえほど可愛く笑えているわけでもありませんし」

 

「? かーさまはきれーだよ?」

 

「ありがとう、ひとえ」

 

よしよしと彼女の頭を優しく撫でてあげると、嬉しそうに頬を緩めて目を細める彼女の笑顔を見つめてしまう。本当に可愛くて素敵な女の子です。

 

「しとりはどこですか?」

 

「ねーさま、けーこに行ったよ?」

 

「そう、ですか」

 

しとりともハグをしたかったんですけど。

 

やっぱり、無理を強いてしまっているのでしょうか。と、私は静かに悩んで、左之助さんとひとえの二人を見て、苦笑を浮かべながら頭を優しく撫でてあげる。

 

みんな、寂しいですよね。

 

 

 

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