両親の視線を一身に受ける左之助さんは何処か緊張しているようにも見える。特にお母様の睨み付けるような眼力に冷や汗を流している。
「良い鉾を持っていますね」
「おう、自慢の相棒だ。コイツの前に使っていたのは喧嘩の最中に砕けちまって、景がオレのために探してくれたんだ」
「景が?貴女は会わない内に武具の目利きも出来るようになっていたのね。良いわ、今度私の薙刀を一振り、護身用に差し上げます」
「い、いえ、使えませんから……」
「あら、そう残念ですね」
お母様は本気で残念そうに背後に置いていた薙刀に指先を添えている。いきなり斬りかかってくるかもと警戒してしまい、左之助さんも蛮竜に手を伸ばし掛けていたけど。直ぐに警戒心を解除してしまう。
まだ、安心するのは早いのでは?と思いつつ、お父様の「今日は泊まっていけば良い。それに義理の息子と話し合える絶好の機会だ」と笑う。
その言葉に私と左之助さんは顔を見合わせる。
良かった。お父様のことだから勝手に祝言を挙げた事を怒るかと思っていたけど。これなら安心して東京で生きていける。机に置かれた湯呑みを手に取り、お茶を飲む左之助さんとお母様も、ほうっとしている。
「ところで、左之助君。孫はまだかね」
「ごぶっ!?」
「お、お父様?」
「貴方、下世話な事は止めなさい!」
ベチン!ベチン!と私の叩く威力とは違う強烈なビンタがお父様の頬を弾くもお父様は「HAHAHA!!!ソーリーソーリー」と似非英語で誤魔化す。
そんなので誤魔化せるわけないでしょう、全く。
「しかし、小さかった景も人妻か……ん?」
「気付きましたか。貴方」
「……景は十五、左之助君は」
「十九ですよ、貴方」
「幼妻が趣味かね、左之助君!」
「いや、単純に景に惚れただけだ」
「「あらぁ~っ、ラブロマンス♪︎」」
二人の息の合ったやり取りに物怖じせずにな話す左之助さん。
だか私よりも左之助さんと仲良くなりそうな雰囲気のお父様とお母様にジェラシーを抱く。
ゆっくりと呼吸を整えてお茶を飲みつつ、左之助さんに根掘り葉掘りと質問を投げつけるお父様とノリに乗ってきたお母様の二人は楽しそうではある。
まあ、随分と帰っていなかったですしね。
二人を不安にさせて心配させてしまったというのもまた事実ですから否定することは出来ない。でも、夫婦の日常を問いまくるのは止めて下さい。
「さて、そろそろ私も歓迎準備を手伝いに行こうかな。景、君の自室はそのまま掃除してあるから、今晩は一緒の部屋に泊まると良いさ」
「貴方?」
「HAHAHAHA!!!」
そう言うとお父様とお母様は部屋を出ていき、私は左之助さんを申し訳なさげに見上げる。
「お前の両親、面白いな」
やめて、お世辞を言わないで…!