相楽景、ススハム、ドクトル・バタフライ、不破信二、ウィリアム・ヘンリー、安居院紗那、幻想虎徹、他にも転生者は居るけれど。
私に対しての不干渉を築いているそうです。
私個人に対する反感や悪意は無く、ただ楯敷ツカサという存在を警戒している故、そう簡単に表立って話し合う場所に来たくないらしい。
悲しいですが、仕方ない事です。
「軟弱者ね」
「仕方ないわ、カスだから」
「ドクトル、オレもアレに混ざるのか?」
「好きにしたまえ。私は全員揃った瞬間に始めるつもり……どうやら最後の一人も来たようだね」
その呟きと同時に視界の一部は灰色に揺らめき、オーロラカーテンを抜けて、黒色のレザージャケットにジーンズを履いた楯敷ツカサの登場に動揺が走る。
「ドクトル、まさかアンタが裏切ったの?」
ススハムが率直に問う。
「その質問の答えはNOだ。今回の議題を話すついでに、楯敷ツカサの証言を加え、糸色君に関する重要な物事もみんなに伝える」
が、今度はドクトル・バタフライの言葉に、みんなの視線が私に集まる。これは分かっていたことですから、ビックリする事はありません。
「────要するに、景を売るわけね」
「違う。いや、話の内容は似ているか。楯敷ツカサの目的は自分の愛する恋人の延命のため、糸色君の持つ『物語を繋げる能力』を必要としている。しかし、今の病によって体力も衰え、衰弱し切った糸色君の身体から『物語を繋げる能力』を引き抜くリスクは計り知れない」
チラリとススハムが私を見遣る。
「はい、合っています。楯敷君の目的は、交さんを救うこと。ただし、デメリットとして存在するのは私の命です。私の能力を奪えば私が死ぬ……北海道のあの夜、私から能力を奪わなかったのはそのためですよね?」
ドクトル・バタフライの言葉に続けるように話し、ゆっくりとテーブルを囲う転生者達を見据える。困惑と動揺、納得しきれない表情ばかりですね。
しかし、分かっています。
「……相楽さんは悪いの?」
「人に移る病気ではなく遺伝する病気だ。おまけに治す方法も不明、糸色君の心肺の手術を行った事はあるが、腫瘍らしきものは欠片も一粒も見当たらない」
「そんな…」
「アンタこそ黙ってたんじゃない」
「妄りに言い触らすものではありませんから…」
ススハムの責める様な言葉に、少しだけ申し訳なく思いながらも受け止め、言葉を返す。小さな舌打ちが聴こえ、ススハムは子供を寝かしつける。
「助かる命は一つ。今の糸色か、未来の糸色か」