某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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ちょっとだけ 序

左之助さんは罪悪感で申し訳なさそうにしながら、私の頭を触ったり、撫でたりとしています。改めて私のひ弱な身体を確かめているようにも感じますね。

 

いえ、実際にそうなんですけれど。弱いから優しく扱おうとして失敗したのだから、今度はしっかりと私の事を抱き締めて、壊れないようにしてくださいね。

 

「改めて触ると、やっぱり小さいな」

 

「十年経っても身長は伸びませんでしたからね」

 

私の手に自分の手を重ねる左之助さんの胡座の中に座り、潰さないように優しく抱き締める左之助さんの腕はぎこちない。

 

「いつも通りで良いんですよ、些細な事故です。左之助さんが気に病んでしまうのも分かりますが、娘達が気付かなくて良かったです」

 

「お前はそれでいいのかよ、殺され掛けたんだぞ」

 

「私は、死ぬなら貴方の腕の中がいいです。花でも星でも海でもなく、相楽左之助という愛しい人の腕の中で安らかになりたいです」

 

「……そう、か」

 

ぎゅうっと抱き締める強さが増す。

 

フフ、ちゃんと加減はしてくれるんですね。

 

「オレはお前に死んでほしくねえよ」

 

「そ、れは……私も、死にたくないですよ。でも、貴方の妻として、子供達の母親として、生きるには時間が限られていますから」

 

辛くて怖く、恐ろしい。

 

───けれど。この二十八年は楽しかった。

 

怖いことのほうが多かったですが、それで幸せだと言い切ることの人生です。死ぬには良い日と言いますが、私の死ぬ場所は家族に囲まれた場所が良いです。

 

まあ、残す問題は外印だけです。

 

ホムンクルス・外印を倒して貰えれば後顧之憂なく安心することが出来ます。まあ、あまり危ないことはしないでほしいんですけど。

 

それでも彼で終わりです。

 

「(とはいえ、私の意識は消えても『月光条例』に居るかも知れないという事実は残りますし、あまり楽観的に考えるのはダメですね)」

 

「また、変な事を考えてるだろ」

 

「……そんなに顔に出やすいですか?」

 

「まあ、悪さは出てる、か?」

 

疑問符を浮かべながらそう言ってきた左之助さんにちょっとだけ困った風に笑いつつ、やっぱり定期的に黒幕扱いされるのは拭えなかったんだと落ち込む。

 

いったい、私のどこが黒幕なんでしょうね。

 

こんなにひ弱で弱いのに、赤ちゃんよりギリギリ強いだけの私に、みんなは少しばかり妄想をぶつけているようにも感じます。

 

雰囲気が怪しいのは仕方ないですけど。

 

もう、それは仕方ないと割り切りました。

 

いえ、割り切っているつもりですけど。やっぱり悲しいものは悲しいままですね。

 

 

 

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