左之助さんの精神も安定し、ようやく普段の彼に戻ってくれました。ちょっと死にかけの女を殺しそうになっただけですから気にしなくて良いんですよ。
「御免下さぁ~い」
「あ、はい。直ぐに行きます」
どこか聞き覚えのある声の呼び掛けに答えて、食器を拭う手を止め、石鹸で手を洗う。
いそいそと割烹着のポケットに仕舞っていた手拭いで水気を拭きつつ、玄関に向かうと既にしとりとひとえが相手をしてくれていました。
「お久し振りです、鎌足お義姉様」
「やあねえ。普通に鎌足で良いわよ」
「では、義姉様、と」
「固いけど、良いわ」
穏やかに笑う彼女の微笑みに懐かしさを抱きつつ、彼女の足元を見ると四人の子供がいる。ちょうどひとえよりひとつ年下か、二つ年下ですね。
「フフン、ウチの子を見せに来たわよ!」
「……フフ、ありがとうございます。義姉様」
ゆっくりと正座し、四人の子供達の目線に合わせながら「こんにちは、叔母の相楽景です」と挨拶すると、姿お兄様に瓜二つな男の子が、ぺちんと私のおでこに手のひらを押し当てた。
「痛いの痛いの飛んでけ」
「優しい子ですね、あなたは」
よしよしと彼の頭を撫でてあげる。
「その子は長男の
実兄の産んだというインパクトの強さに頭を悩ませつつ、四人の子供を見つめる。三男の本条壮君は少し怪しい気配を感じますね。
いえ、気のせいだと信じましょう。
「ほら、挨拶しなさいな」
「えと、こんちには?」
「はい、こんにちはです」
握手。
小さな手だけど、姿お兄様のように刀を握っている手です。強くなるのは分かりますけど、しとりの強さを見たら大変な事になってしまいそうですね。
まあ、そのときはそのときです。
「しとりちゃん、お姉さん覚えてる?」
「ん!かまちゃん!」
「せいかーい♪︎」
ワシャワシャと頭を撫でられて嬉しそうにするしとりの袖を掴み、ぷくーっと頬っぺたを膨らませているひとえにクスクスと笑ってしまう。
あのときはまだ赤ちゃんでしたからね。
もっとも向こうの四兄弟も似たようなものですから、あまり深く考えるのはダメです。……ダメですね、姿お兄様の産んだ子供というインパクトが抜けません。
うぅ、姿お兄様の子供で、子供が?
……ゲシュタルト崩壊する前にやめておきましょう。流石に脳ミソがバグを引き起こしそうです。