「えと、ご用件は?」
そう鎌足お義姉様に問う。
「姿の代わりに来たのよ。彼、景さんが死ぬかも知れないって聞いてから清国に不老不死の妙薬を探しに行くとか言い出してね、流石に、危ないから止めたのよ」
「すみません。お兄様が」
「ああ、愚痴じゃないの。姿があんなに頑張っているなら私も出来ることをしようと思っただけよ。まあ、だからって富士の山に登って不老不死の妙薬を探すと言い出すのはどうかと思うけど」
蓬莱の妙薬。
かぐや姫……ではなく、天女を自称する妖怪はいますけど。そちらはもう既に犬夜叉達が倒しているはずですし。あまり怖がる必要はありませんね。
「……で、どうするの?」
「どうする?」
「本当に有ったら飲むの?」
「飲みませんよ。不老不死の妙薬は全身を作り替える猛毒、少しでも飲んでしまえば異形の化け物に成り果て、人の自我を失います」
「流石、百識の方治が欲しがる知識ね」
その呟きに手を止める。
鎌足お義姉様が悪いわけではありません。ただ、志々雄真実だけでなく、あの佐渡島方治も私の事を利用しようと考えていた事に驚いているだけです。
すでに焼け落ちているとはいえ、あの決戦場には志々雄真実の血や遺骨、遺灰は残っているでしょうし。外印がその事に気付いていたら、また彼をこの世に呼び出すことになる。
そうなってしまえば、もう彼を止め得る強さを持っている上、若さもあるのは明神君になります。左之助さんと緋村剣心はまだ現役ですが、もう三十路と四十路ですから黄泉還りの相手は大変です。
「母様、そーちゃん強い!」
「あらあら、そうなんですか?」
胴着姿のしとりが竹刀を持ったまま、居間に乗り込んできたかと思えば、そう嬉しそうに笑って、壮君と試合をしたことを教えてくれた。
でも、まだ六歳か七歳のはずですけど。
「かーさん、しとねえ、つええ!!」
今度はドタドタと竹刀を肩に担いで戻ってきた壮君の満面の笑みを浮かべる顔に鎌足お義姉様はクスリと笑い、ワシャワシャと彼の頭を優しく撫でてあげる。
「当然よ。だって、景さんの娘だもの」
いえ、どちらかと言えば左之助さんのパワフルさを持っているだけだと思います。私はしとりやひとえのように強いわけではありません。
「もっかいだ!」
「ん!相手してあげる!」
にこりと微笑んだしとりに、壮君は頬を赤らめるもムスッとしたひとえによって阻まれ、なんだか面白いことになっていますね。
「あらあ、これはあれね」
「やっぱりですかね?」
「「初恋」」
思わず、クスリと笑ってしまいました。
しとりは本当に人を惹き付けますね。