某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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モテる長女 序

しとりは人を惹き付ける天性の人誑しの気質を持っているせいか。よく男の子や女の子の初恋を奪っているように思えます。

 

現に剣路君、天兵君、壮君、白面の者、諸々の妖怪、他にもいますけど。妹のひとえも無自覚に惹き付けてしまっているしとりの天真爛漫さは本当に凄い。

 

左之助さんも私もしとりの笑顔に安心します。それにしとりは翳りを見せないのではなく、自分の翳りさえも受け止めて、照らしてしまう。

 

超ポジティブすぎる美少女。

 

おまけにこの子は相手のテリトリーに詰め寄る勢いも強く男女問わず、「あれ?この子、私の事好きなんじゃないの?」という、とんでもない勘違いを引き起こしやすいんですよね。

 

何度かお見合いや縁談を持ち込まれましたし。

 

全部、左之助さんが断ったけれど。

 

「ん!」

 

「つあ!」

 

スパァン…!と竹刀の快音が我が家の道場に響く。

 

「しとりちゃんは神谷活心流なのね」

 

「はい。しとりの足捌きは糸色流の歩法を取り入れていますが、基礎は神谷活心流になります。(一番の強みは、しとりの足腰のしなやかさですけど)」

 

しとりは壮君の振るう竹刀を受け、鍔迫り合いに持ち込まれるも足を左に滑り込ませ、転身、軽やかに壮君の手を防護する籠手を打つ。 

 

が、もう一度と壮君はしとりに申し込んでいる。

 

「退き足の速さは宗次郎並みね」

 

「目の良さもありますよ。しとりは見たものは大抵直ぐに覚えてしまいますから、東京府の剣道場は交流試合の度、しとりにその流儀を教示しています」

 

鑢七実の如く見稽古してしまう。

 

黒鉄一輝の様に剣技模倣を出来てしまう。

 

しとりにとって「見る」という行為そのものが稽古に直結し、この世に存在する全ては彼女の遊び場とも言えるわけです。

 

私の書道の手捌きや料理の包丁捌きを覚えて、人体の何処を打てば確実に昏倒できるのかを彼女はもうとっくに把握していますからね

 

世が世なら最強の人斬りになっていたり。なんて、そんなことをさせませんから有り得ない事です。なにより、しとりは優しい女の子ですから、人を斬らず、意識を断つ事に集中している。

 

「しとりちゃん、志々雄様が見たら直ぐにスカウトしていたんじゃないかしら」

 

「私は志々雄真実と親しくありませんが、強い人が好きなんですか?」 

 

「どちらかと言えば『諦めない人』か『負けず嫌い』が好きだったわね。あとうしおととらの蒼月君によく感動していたけど」

 

……蒼月君、明治の人に特攻あるのでしょうか。

 

思わず、そんなことを考えながら、しとりと壮君の試合を見つめる。

 

 

 

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