姉畑支遁、ウコチャヌプコロして逮捕です。
私のせいなのでしょうかと悩みつつ、しとりとひとえに気付かれる事はないでしょうが、左之助さんにこの事を伝えると顔をしわくちゃにしてしまった。
まあ、そういうこともありますよね。
私はあまり知りたくなかったですけど。
しかし、姉畑支遁の人生を歪め……大して歪めていませんね。ちょっとだけ好転したと考えても良いような気がします。あとで謝らないといけません。
「景、女学校はまともなのか…」
「その点は大丈夫です。全寮制のものになりますが、ドクトルの経営するニュートンアップル女学院への試験はしとりは合格していますし」
「いつ受けた?」
「? ほんの先日前のことですよ?左之助さんも一緒にしとりが鉛筆を動かして、問題を解いているところを見ていたじゃないですか」
「……どれだ?」
しとりとひとえが困らないように勉学の基本は教えていますし、身体の動かし方など体育は薫さんや恵さんもいますから問題なく行えています。
───とは言え、ですけれど。
流石に申し訳無さは消えません。
「あのオッサンの事は忘れとけ」
「……そうします」
忘れたくても忘れられませんけど、それでも忘れられるように努力しようと思います。いえ、それしか出来ないと分かりきっていますし。
「左之助さんはどうでしたか?」
「タヌキだったぜ、あのオッサンもな」
やっぱり、お金を持っていると欲深く何かと付け入ろうとする人はいるわけですね。武田さんのところに行けば普通にお金は貸して貰えますよ、合法的に。
そう考えると武田さんは私の知り合いの中で一番明治政府と対等に話し合える相手です。私はどうにも怖くて下手に出てしまいます。
やめないといけないのは分かってはいるんですが、どうしても顔の怖さに萎縮して、だんだんと悪い方に向かっていることは分かっている。
それに、結核に対する薬品の開発。
私の病気を治すために、ドクトル・バタフライや恵さんが尽力しているおかげで、本当に少しずつですけど。一般家庭の人も使えるようになっています。
「他に行きたいところはあるか?」
「比叡山に行きたいです。志々雄真実が、地獄門の時に手伝ってくれましたから、本を御供えしても良いと思うんですが、大丈夫ですか?」
「まあ、それぐらい良いんじゃねえか?」
そう言って左之助さんは許可してくれ。
私もほうっと安堵の吐息をこぼす。
許してくれて良かったです。もしものときは、どこでもドアを使うつもりでした。