猶予は三年と考えて生きる。
これだけあるのなら十分です。
しとりと剣路君の祝言を見ることが出来るという希望を得ることが出来ました。希望というものは生きる活力にもなりますから良いことです。
「母様、歩いて大丈夫なの?」
「えぇ、今日は一緒にお買い物です」
「お買い物!」
しとりとひとえを連れて、いつも姉妹が使っている虹の反物とは違う普通の反物を買いに行くつもりです。替えを用意してもお気に入りなのか、よく二人とも虹の反物のリボンを使っている。
嬉しいんですが、替えは必要です。
「二人は何色にしますか?」
「ん、この濃い青にする」
「フフ、それは
「かーさま、これは?」
「それは薄朽葉です。綺麗な色ですよ」
そう話しながら呉服屋の店主に反物の生地を見せて貰っていたとき、呉服屋に置くには明らかに不自然な代物を見つけてしまいました。
古びた日本甲冑が鎮座している。
「ああ、相楽先生も気になりますかな?アレは反物を買いに来た男が置いていった甲冑でね。私共も扱いに困っているんですよ」
私の視線に気付いた呉服屋の店主はつらつらと言葉を並べて、私に持って行って欲しいという事を遠回りに伝えてくる。しかし、悩ましいですね。
あからさますぎるほどにプレシャスですね。
────とは言えです。
この甲冑を置いていった人の目的は分かりませんし。無闇に触って痕跡を残し、それを追い掛けてきたら、とても大変な事になります。
「すみませんが、あの甲冑は引き取れません」
「ああ、そうですか」
残念そうに言葉をこぼす店主に申し訳なく思いつつ、私はしとりとひとえの選んだ反物を包んで貰い、また来てくださいねという常套句に軽く会釈する。
しとりもひとえも同じように会釈し、のんびりとお団子屋さんに向かいます。久しぶりのお団子に私も嬉しく思っています。
それにしても、あの甲冑を置いていったのは誰なんでしょうか?あれほどのプレシャスを置いていくなどあり得ないことです。
ひょっとして、また私のことを?なんて考えながら、流石にあり得ないと否定し、お団子屋さんに着いて、いつものようにお団子を頼む。
「ん!ひーちゃん、ここ座ろう」
「ねーさま、待って!」
パタパタとしとりの事を追い掛けるひとえに微笑ましさを感じながら、あまりお店の中を走るのは危ないから止まるように告げます。
ふたりはよい子なのですぐですね。