一ヶ月近く(私の体力の無さと錬金術関連のゴタゴタに巻き込まれて)信州周辺に居たため、少しだけ懐かしく感じる我が家の正門を開けた瞬間、私と左之助さんはピシリと動きが完全に停止する。
「屋根が消し飛んでんな」
「……蛮竜ですね」
「来てくれたのは嬉しいが、こんなブッ壊すことはなかったんじゃねえか?」
そう蛮竜に話し掛ける左之助さんを玄関に放置して、部屋の中を見回るように歩く。ゴミや汚れ、壊れた家の残骸は綺麗に片付いていて、もうほとんど建て直しの準備も始まっている。
神谷さんが手配してくれたのかな?
「左之、無事でござったか!」
「おお、久しぶりじゃねえか剣心!」
「いきなりお主達の家が弾けたかと思えばお主の蛮竜が荒ぶり飛翔する姿、なにか起こったのかと総出で埼玉に行ったのでござるよ!」
「あー、いや、こいつは蝶野とは完全な別件になるんだよ。───っと、そうだった。ほらよ、持ってるだけで傷を癒やす怪しい鉄塊だ」
その説明はダメなのでは?と左之助さんに変わって、核鉄の大まかな使用法と所持する恩恵について説明すれば「……二人とも知っていたでござるか。ありがとう」と緋村剣心は言ってくれた。
「左之助と糸色帰ってきたのか!!」
「おう、弥彦も元気そうだな」
「心配させやがってこの野郎!」
「景さん、また拐われたのかと思った!」
「……私ってそういう認識なんですか?」
「「「そりゃあ、そうだろ」」」
神谷さんの言葉の真意を左之助さん達に聞けば、あっさりと肯定されてしまった。えぇ、私って拐われやすい人に見えるの?と自問自答してしまう。
まあ、拐われても左之助さんが助けてくれるから難しく考える必要はない。そう思うことにしましょう、そのほうが安心できるから。
「帰宅早々に騒がしい連中だな」
「斎藤、なんでここに!?」
「斎藤さん、こんにちは」
「挨拶など後回しだ。相楽、信州で派手に暴れたそうだな。維新志士の豚がお前に逮捕命令を出している。余り悠長にしている暇はないぞ」
「は?」
不動沢の時には聞いていない言葉に困惑し、私と左之助さんは顔を見合わせる。そんなの聞いていない、いや、悪いのは向こうだったんじゃ?
「今度は何したのよ!?」
「なにもしねえよ!?親父の畑を荒らした奴らを殴っただけだっての!?」
「阿呆が。その殴った奴らに維新志士の身内が居たんだ、権力と私欲で肥えた豚ほど見栄に執着している、お前はその豚を運悪く引き当てたんだ」
斎藤一の現実を突き付ける言葉が重くのし掛かる。でも、こうなったら仕方ない事だと割りきって、原作と同じように逃げれば良いだけよ!
大丈夫、この人となら何処までも行ける。