某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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ご都合主義なんてない 序

私の寿命は伸びた様に見えるけど。

 

実際は命の蝋燭に無理やり蝋を足して固めているだけ。寿命は緩やかに磨り減って、いずれ完全に蝋燭の火は消えてしまうでしょうね。

 

「左之助さん、どう思いますか?」

 

「蝋燭の火が消えねえように囲う」

 

「真空だと火は消えますよ?」

 

「じゃあ、どうするんだよ」

 

「新しい蝋燭に火を移すんです。そうすれば私が死んでも私の生きていたという意味は消えず、しとりとひとえから、孫へと続いていくんです」

 

ふうと行灯の火を消して、左之助さんの隣に敷いた布団に潜ると手が触れ合う。ずっと伸ばしていたの?と首を傾げながら、左之助さんの手を握る。

 

大きな手。安心できる手を握って、ゆっくりと目を閉じると手を引く感覚に目を開けると、月明かりに照らされながら、此方を見つめる左之助さんが、ぼんやりと見えます。

 

フフ、なんだか恥ずかしいですね。

 

「景にオレの命を分けられたら良いんだがな」

 

「ダメです。禁忌は犯せませんし、そんなに都合の良いものはありませんよ」

 

ご都合主義なんていうモノは「物語」の主人公に付属する特権です。たまに持っておらず、死んでしまう人もいますが、世代交代になります。

 

「なら、もう一人ぐらいダメか?」

 

「だ、だから、身体が持たないんですっ」

 

「なら、これだけさせろ」

 

「んッ……あの?」

 

布団の中に引きずり込まれた事にビックリしたけれど。何かされたりすることはなくて、私の事を抱き締めているだけで怖いことはありません。

 

ただ、ちょっぴり恥ずかしい。

 

「左之助さん?」

 

「ちゃんと覚えるためだ」

 

「……はい」

 

ちゃんと覚えていて下さいね。

 

忘れたら、泣いちゃいますからね。

 

「景はひんやりしてて気持ちいいな」

 

「左之助さんは暖かいです」

 

そう言いながら私は彼の胸に身体を埋めるように近付いて、彼の心臓の音を聞き、眠りにつく。ずっと、こうしていたいです。

 

あなたの心臓の音を聞いていると、とても安心できる。いつもいつも左之助さんに寄り掛かってしまっているのに、どうしてあなたは許してくれるんですか?

 

ああ、本当に浅ましく求めてしまいそうです。

 

「んッ…!あの、手が」

 

慌てて左之助さんを見るも聴こえるのは寝息だけで、ぼんやりとした視界で顔も見えず、もう眠ってるのかなあ?と思いながら、お尻や腰に触れる手を我慢する。

 

起きてくれると助かるんですけど。

 

ぐっすりと眠っているのか。聴こえる寝息は一定で、左之助さんの手もゆっくりと動いているだけですから、私の勘違い……?

 

 

 

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