左之助さんは外印の招待状を受け取り、即招待状を破いてしまった。まだ中身を読んでいないのに破いてしまって良かったんですか?
「いいか景。お前は自分の事に無頓着だが美人だ。十人に聞いたら十人が認める美人だ。そのお前に下劣極まりない手紙を送る男は大体クズ野郎だ」
「? 私、家族以外からの手紙なんて貰ったこと一度も無いですよ?」
「……よし、仕事に行ってくる」
「あの?」
………………もしかして、私に送られてきていたかも知れないファンレター的な何かとかを普通に読んで勝手に捨ててましたか?
ずいずいっと左之助さんを見上げる。
しかし、左之助さんはふいっと顔を逸らす。
すごく怪しいです。
「左之助さん、今日はお休みですよね。それに、久しぶりに津南さんと飲みに行くと言っていたのに忘れてしまったんですか?」
「忘れてねえさ。今日は飲みに行く!」
「じゃあ、その前に私に送られてきた手紙の事を教えて貰えますか?」
「それはそれだ」
スタスタと逃げる左之助さんを慌てて追うも着物では早く走れず、そして私のダンゴムシ並みの運動神経では廊下を早歩きする左之助さんにも追い付けません。
「まっ、はひぃ、けほっ、はやっ、いコホっ…!」
「っ、無理するなよ」
壁に右手をついてドクンドクンと痛いほどに鼓動を繰り返す心臓に左手を添え、ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、その場にへたり込んでしまう。
「お、おい、大丈夫か?」
「…けほっ、す、すみませ、んっ…」
ケホッ、ケホッ、と咳き込む私を抱き上げて寝室に運んでくれる左之助さんに謝りながら、さっきまで問い詰めようとしていたはずなんですけど。
「…早く良くなるといいな」
「…………そういう左之助さんも早く私から隠したものを返してくれると嬉しいです。私の持っていたショドウフォン、どこかに隠しましたよね?」
「それは知らん」
「本当ですか?」
「本当だ。オレがウソ言ったことあるか?」
「今年は二十七回です。去年は三十一回、その内の四回は仕事の付き合いと言って賭場に通っていましたよね。あと緋村さんと朝まで飲んで泥酔したのが一回、交易相手の女性に言い寄られて七回は長谷川君と井上君を巻き込んでいますし、むぐっ、んんん…!」
「お、落ち着け。あれは誤解だ。浮気はしない、明日郎のヤツに押し付けて、旭がアイツを殴って制裁を加えている。オレはお前一筋だ」
「ぷはっ、ケホッ、ゲホッ…!」
グルグルと目を回す左之助さんの頭をよしよしと撫でてあげます。私は絶対に忘れませんから、ずっと左之助さんを見ていますからね♪︎
左之助さんは、めた好きです♪︎