外印の手紙は毎日のように届きますが、私が読む前に左之助さんが手紙を破き、燃やしてしまうため集めて読むことも出来ません。
別に読みたいわけではないですが、こう何度も届いていると中身が気になってしまいます。これは浮気じゃありませんからね?
「逃げた癖にまだ来やがったか」
「もう放っておいたほうが良いんじゃないでしょうか。こうも毎日のように送ってくるというのは、承認欲求を満たしているだけのように思えますし」
そう言ったところで左之助さんは手紙を破いて捨てる事はやめず、むしろ悪化している気がします。───とは言え、あまり危ない様なら、今まで以上に家の回りを見張って貰うべきですね。
「左之助さん、いっそのこと手紙を受け取るだけ受け取って手紙の内容を瓦版に提示するのはどうです?そうすれば恥ずかしくなるかもです」
「オレより酷くねえか?」
それは、それです。
悪いことをしているのなら、瓦版を用意したときに邪魔するはずです。けれど、確かに左之助さんの言うように手紙を晒すのは可哀想ですね。
「景、此方に座れ」
「? こうですか?」
縁側にいきなり座るように言ってきた左之助さんに首を傾げながらも従って、彼の隣に座った瞬間、おもむろに彼の手が私の後ろ首に触れ、止める間もなく私は左之助さんとキスを交わした。
「んッ…!やめっ、や…!」
ねちっこいキスに彼の服を引っ張るも止まらず、縁側に倒れ込み、彼を見上げる角度になった次の瞬間、左之助さんは左手を縁側の外に突き出して何かを受け止めた。
水。
それも金属製の水ということは外印がさっきのやり取りを見ていたという事に気付き、思わず、顔が茹で上がってしまったように熱くなる。
最低ですっ、盗み見するほうも、好きな人とのキスを囮に使われたことも最低すぎますっ!
ペチペチと左之助さんの肩を叩いて、部屋の中に戻ると左之助さんは塀を乗り越えて、外印のところに行ってしまいました。
酷いです、そんなことするなんてあんまりです。しとりとひとえが眠っているので泣くことはしませんが、あとで謝ってほしいです。
「ぐすん」
「母者は少し純情すぎるな」
「……個魔の方は嫌じゃないんですか。好きな人との接吻が囮みたいに使われる」
「呪い殺したくなるが?」
「つまり、そういうことです」
「父者は本当にダメなヤツだな」
そう言うと個魔の方は影の中に戻り、しとりはモゾモゾと布団の中で寝返りを打って、隣で眠っているひとえの傍に少し近付いています。
……フフ、可愛いですね。