必要な荷物は仕事道具、衣類、食事は向こうですればいいけど。密入国ではなく、私と左之助さんは堂々と出国する予定ではある。
そもそも密航するほど酷いことはしていないはずなので、私と左之助さんの人相書きが出回っていないし、普通に渡米するにはちょうど良いタイミングだ。
そして、私と左之助さんは蝶野爆爵の言葉を信じるなら原作の途中で終わった「GUN BLAZE WEST」に向かうことになる。
当然、向こうの主流武器は銃────。
左之助さんには蛮竜と二重の極みがあるけど。私という戦闘能力皆無どころか絶無の足手まといがいる、ハッキリと言えば他の人より危険も多い。
「よし、頑張ろう…!」
グッと握り拳を作って自分を鼓舞する。
でも、左之助さんって英語出来たっけ?なんてことを考えながら、神谷さん達に今後は使う予定も無い貯金していたお金を押し付ける代わりに我が家の管理をお願いしたけど。五年……までには帰りたい。
「左之、これはどうするでござるか?」
「景、春画は捨てろって言ったよな?」
「わ、私の物じゃありません!」
「……剣心、燃やして良いぞ」
「ああ、ウソです!私のです!」
他の人が書いた左之助さんの錦絵や春画を燃やそうとする緋村剣心に近付こうとしたものの、左之助さんに捕まってしまい、ムニムニと頬っぺたを摘ままれる。
「此処に御本人様が居るだろうが」
「ふぁひっ、しゅみまふぇん」
「おろ?此方は拙者でござるな。まあ、左之の様な春画では無い分、ましか」
「ふぉれは、ふぁみやふぁんの」
私の言葉に緋村剣心と左之助さん、明神君の視線が神谷さんに向かっていく。ポッと頬を染めて照れている神谷さんのメンタルが羨ましいです。
「……景、これなんだ?」
「あっ、それは」
「戦国の絵草紙なんて景さん珍しいわね」
「新作でござるか?」
ワラワラと集まってきたみんなの見つめる秘蔵の、私がこっそりと読むために書いていた『戦国の三日月』に『蛮骨っぽい左之助さん』を加えた二次創作が、こんな大勢に、しかも左之助さん達に見られてしまった。
「比古清十郎って、飛天御剣流の」
「継承する名、ましてや戦国の比古清十郎など拙者は知らぬでござる。それに、この大鉾は左之の蛮竜……どういうことか説明をしてほしいでござるな」
そうっと視線を逸らそうとしたけど。
左之助さんに捕まったままなので逃げることも出来ず、蝶野爆爵の語った蛮竜の出自、それが戦国時代の飛天御剣流と関わっていた事を渋々と私は話す。
知られたくなかった、恥ずかしい…!
「へぇ、それならオレと剣心がダチになったのも強ち偶然って訳じゃ無さそうだな」
「そうでござるな」
そう言って笑う二人に笑う挟まれたままだ。