左之助さんにしとりとひとえの事をお願いし、私は護衛を務めてくれる凍座白也と一緒に歩いています。大柄な偉丈夫という出で立ちの彼は注目の的です。
「糸色殿、何人か追ってきているぞ」
「闘姿はどうですか?」
「食虫の花、蛙の化け物、鷲の三匹だ」
しゃくりと顎を撫でた凍座白也は不満そうに私の事をつけている人達について考えていますね。本来は早々に出会わないのですけれど。
北海道の事件を把握していない外印はかなり焦っているのか。私が一人だけを連れて歩いている現在の状況を好機と捉えて、狙ってきた可能性もある。
しかし、凍座白也の強さは推定緋村剣心並み、あるいは全盛期の彼に迫る強さです。これで当人は自分の事を凡人の範疇に収まっていると考えているのですから、本当に悩ましい。
「路地に入るぞ」
「え?」
ぐいっと腰を捕まれ、路地に入ると私の事を降ろした凍座白也は駆け足で路地に入ってきた三人の内の一人の頭部を踏み砕き、残り二人は頭を握り砕いた。
「剣客兵器の特殊体質の赫力、血中操作なんて並大抵の努力では身に付きませんよ」
「ハッハッハッ。筋繊維の操作法をご教授して下さったのは他ならぬ糸色殿だろう。儂らの知らぬ身体鍛練を加えたおかげで、無駄な肉を削げた」
章印の砕かれたホムンクルス達に手を合わせ、外印の身勝手すぎる感情論に巻き込まれた彼らに申し訳なさと悲しみを抱く。
凍座白也も同じように手を合わせるも呵々大笑の大笑いを繰り返し、ホムンクルスだった彼らの中華服を拾い上げると路地を出る。
───刹那、短刀を構えた子供が現れる。
が、短刀は握り砕かれ、子供は顔を掴まれた。
「凍座さん、相手は子供ですから」
「うむ、小鬼か。中々に愛い顔をしておる」
私がそう言うと凍座白也は子供のおでこにデコピンし、吹き飛ばしてしまった。おそらく、外印の実験に加担する信奉者の子供でしょうけど。
少し悲しい気持ちになります。
私のせいで外印なんていう人間に出会ってしまったわけですし。きっと、あの子もそれを分かっているから、私の事を狙ったんでしょうね。
それは、とても悲しく辛いことです。
「糸色殿、まだまだ釣れるぞ」
「そんな、魚じゃないんですから」
本当に護衛をこの人に頼んで良かったのでしょうか?と悩みながら、彼の行く先々で外印の手下かホムンクルスに襲われ、だんだんと分かってきました。
みんな、凍座白也を目印にしています。
だから、みんなにバレているんです。
彼は悠久山和尚より大きいから尚更です。