凍座白也の向かうまま、古びた御堂の前にやって来た私達の目の前に外印は現れた。ただ、左之助さんや緋村剣心と対峙しているときよりも瞳孔は開き、血走った眼光が凍座白也を射貫く。
「痴れ者が、私の糸色景を奪うつもりか!」
「ハッハッハッ。糸色殿は既に左之助殿の妻だろうに、貴様こそ下衆な手段ばかり。腐肉に集る蝿の闘姿に似付く醜悪さじゃのう」
ニヤリと嗤う凍座白也。
サアと私は血の気が引いていく。
生い茂る木々や草花、遮蔽物の在る雑木林の中で外印のように鋼線や人形、ホムンクルスなど手数の多さを誇る相手を、ここまで煽るのは宜しくないです。
「殺してやる…!」
「フゥム、何か不味い事を言ったか」
ボリボリと頬を掻く凍座白也に「人の事を蝿と言えばそうなりますよっ」と苦言を呈し、注意したその時、彼の死角を縫うように飛来した手裏剣が彼の身体に突き刺さる。───が、彼は傷一つ負っていない、
「それが、凍座さんの戦型ですか?」
「北海道で見せる機会は得られなんだが、まさか糸色殿に儂の戦型をご覧じる事が出来るとは善き哉!」
凍座白也の纏う雰囲気は変わり、肌寒さに息を吐けば白息を出してしまう。知識として知ってはいましたけど。
これが異號・凍座白也の持つ戦型「不動凍奴」。
全身を巡る血中の流れを停止し、全身の筋肉を締め上げる。原理としては死後硬直の引き起こす筋肉繊維の硬化ですが、任意的に行えるのは、彼の人並み外れた血液の多さのおかげですね。
「手裏剣が、凍った!?」
外印の驚愕も分かります。
まだ「気化冷凍法」の方がまだ分かりやすいです。肉体の熱を吸収し、瞬間的に冷却する。死体の腐食を防ぐエンゼルケアという技術です。
「チクチクしただけじゃな」
「毒物は塗っていませんけど。あとで恵さんの診察は受けて下さいね?」
そう言いながら凍座白也を見遣る。
「あの女医も善き女性だ。夫が居らねば儂が娶りたいと思えた、我が友の姿にも言えるが、儂は強く美しいものが大好きだ」
ゆっくりと木の幹を掴んだ凍座白也は力任せに樹木を引き抜き未だに唖然として困惑したまま動けない外印に樹木を叩きつけ、殴り飛ばす。
一瞬、防御の遅れた外印は吹き飛ばされ、木々を薙ぎ倒しながら倒れる。が、すぐに死なずの忍びを呼び寄せ、ホムンクルスに、不格好で不出来な
「ハア…塵ばかりでつまらん」
手首を噛んだ刹那、血の散弾が目の前を壊した。
「糸色殿、追いかけるぞ!」
爽やかに嗤う、凍座白也に頬が引き釣る。
やっぱり、剣客兵器はおかしいですっ。