治りきっていない片腕を押さえながら走る外印の事を追いかける凍座白也の顔は笑顔だ。笑顔とは威嚇である。と聞いたことはありますけど。
アレは本当だったんですね。
しかし、困りました。
これ以上の追跡は左之助さんに怒られてしまいそうですし、凍座白也と良からぬ関係だと勘違いされたら、私が悲しくなってしまいます。
「ハッハッハッ。逃げるな逃げるな」
「(流石はラスボスだった人…普通に怖い…)」
私の事を抱き上げて離そうとしない凍座白也の肩を掴みながら、逃げ惑う外印の背中に血の散弾がめり込み、地面に倒れる。
「お、おのれ、このゴミが…!」
「儂が塵とは変なことを言う。糸色殿を狙い、稚拙な罠を張り巡らせ、左之助殿に敗れているお前のほうが塵だろうに、のう?」
「私に聞かないでほしいです」
いくら悪い人だからってゴミなんて言えるわけないじゃないですか。罵倒のボキャブラリーだって、他の人より少ないですし……。
怖いものばかりです。
「糸色さん、貴女なら私の崇高な芸術を理解してくれるでしょう。永遠の命も貴女が望めば与えることだって出来るんですよ!!」
「
「……えぇ、その通りです。人を人形や化け物に作り替える程度の事で神様を気取るなどしてはいけませんよ。外印、貴方は自分の周りに纏わり付くモノは見えますか?」
「は、なにを言う、霊でも居るというのか?」
先程まで理解してくれる等と言っていた癖に、また見下し始める外印の不安定化の進んでしまった情緒に憐れみを感じながら、私はショドウフォンを取り出して、『視』のモヂカラを彼に与える。
「な、なんだ?なんだこれは!?」
「なんだ、どうした?」
ジタバタと暴れ始める外印の姿に凍座白也は首を傾げ、私の方を見下ろして来ます。
「……大陸の幽霊と日本の幽霊がずっと絡み付いて、怨みと憎しみをずっとぶつけていたんです。本人はホムンクルスなんていう不老不死になってしまったから、死して裁かれることはありません」
「犯した罪を清算する事も出来ず、人間道を永遠に生きるというわけか。難儀な人生を選んだのう」
見えることで、更に強固な関係を築いてしまったけれど。あなたが犠牲にした人達の人生を歩み、清算し切るまで永遠に逃げることは出来ません。
人間だったなら、呪われ、あの世に堕ちていたでしょうけれど。死にたくないがために安易な不老不死に頼った、あなたの罪は、あなたで清算しなければいけない。
「人を呪わば穴二つ、ということです」