某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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剣士の業 序

最近、しとりは悩んでいます。

 

剣道と剣術の両方を極めたいしとりにとって飛天御剣流の様な古流剣術、いわゆる殺人刀を学ぶという機会は余りなく、神谷活心流の正道の活人剣を学ぶ日々を軽んじることなく古流剣術を知る事は難しい。

 

「ん!母様、剣を教えて!」

 

「……しとり、お母さんは剣を振った事は一度も無いんです。見てください、この筋肉を付けようとしても付かず、細い枝のような腕を」

 

「わたしが教える!」

 

「ひぃんっ」

 

嬉しそうに何かを思い付いてしまったしとりに連れられ、私は神谷道場ではなく我が家の大広間に入り、竹刀を構えるように言われ、半泣きになりながら竹刀を構えることになってしまいました。

 

左之助さんはひとえとお昼寝しています。

 

誰か助けて、個魔の方…!

 

そんなことを必死に願っていると、しとりの影から頭だけ出した個魔の方は静かに沈み、サムズアップするだけで影に戻りながら「I'll be back」したただけです。

 

要らないです、助けて下さい!

 

「母様、行くよー!」

 

「お、お手柔らかにぃ…」

 

防具も重くて着れないですし、小手もサイズが合わなくて、しとりに「ん!母様は手も小さい!」なんて言われてしまうほどです。

 

ゆっくりと、しとりを見つめる。

 

左手を腰の後ろに置き、竹刀を下段に下げる。

 

西洋剣術の構えに似ているけど。

 

日本剣術の足捌きです。

 

いつも側面や後ろ姿を見ているだけでしたが、こんなにも、こんなにも嬉しそうに瞳を輝かせ、笑顔のまま竹刀を握って向かい合っていたんですね。

 

────ほんの少し口汚くなりますけど。

 

そりゃあ、みんな好きになるわけですよ。

 

こんなに可愛すぎる美少女が自分と向き合うとき、見たこともないような綺麗な青い瞳を向け、キラキラと見つめてくるんです。 

 

こんなのはもう好きにならない方がおかしい。

 

「行くよ、母様」

 

「は、はきゃあっ!?」

 

バシィンッ!

 

し、竹刀が吹き飛んだ。

 

目では追えたのに、身体が追い付かない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

何より驚いたのは、しとりが使ったのは片手上段面(剣道の片手による面打ち)です。下段に構えていた竹刀が、しとりの身体ごと真っ直ぐ前へと跳ねた。

 

「しとり、どこでそれを?」

 

「ん!斎藤のヤツを真似てみた!」

 

斎藤のヤツを真似てみた。

 

────「牙突」を見て、覚えた?

 

「(いえ、牙突は刺突技の極致です。しとりの使ったのは片手面でした、系統がまるで違います)」

 

……けれど。

 

この子は本当に、(つくづく)天才ですね。

 

 

 

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