某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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剣士の業 破

「ひぃんっ!」

 

バシィンッ!

 

────と、音が響く度に竹刀が弾ける。

 

竹刀なんて握ったことも振ったことも無いから怖くて怖くて仕方ない。なんでこんなことに?と半泣きになりつつ、しとりを見つめる。

 

笑顔。すごく可愛い笑顔ですけど。

 

しとりの速さに身体が追い付けず、みっともなくフラフラとしちゃっています。お母さん、これでも頑張っています、がんばってますからね!

 

「母様、もう一回するよー」

 

「は、はい!」

 

竹刀を拾ってしとりを見据える。

 

私と同じ青い目を向け、構えは平正眼。

 

柳生新陰流なんて教えたり、描いた記憶は無いんですけど。しとりは、どこで覚えてきたんでしょう?と首を傾げた瞬間、しとりの竹刀を持った手が背面に回り、剣先を摘まみ、弓なりに沿ったまま変則的な抜刀が放たれる。

 

……竹刀が、跳ねた。

 

唐竹割りから、刀を返し。

 

下段からの上段斬り。

 

手首のスナップを利用し、弧を描くように竹刀は軌道を変えているのは見えます。しかし、見えると出来るは全く違います。

 

本当にしとりはすごいですね。

 

「ん!つばめがえし!」

 

「上下二連の斬撃。確かに、燕返しですね」

 

しかし、どこで調べたのでしょうか。

 

「……しとり、剣先を持てますか?」

 

竹刀を置いて、木刀に持ちかえる。

 

しとりの後ろに回って木刀の剣先を握って貰い、右手は指の間に柄を挟むように持って貰う。

 

虎眼流の秘技「星流れ」の構えを取る。

 

「離していいの?」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

遠くの方に移動し、しとりの振るう星流れを見る。飛天御剣流の剣より速く見える、絶対不可避の横薙ぎ。横と後ろ、前に逃げ道は存在せず、斬るのは一瞬です。

 

「……なんか、やだ」

 

ムスッとするしとりの顔を写真に撮りたい。

 

しかし、カメラなんて存在しないから、すぐに戻ってしまった顔を残念に思いながら、しとりの傍に寄るとお腹に顔を押し付けるように抱きついてきました。

 

「フフ、甘えん坊さんですねえ」

 

「母様、今のと違うやつがいい」

 

そうですね。

 

でも、お母さんはしとりみたいに刀を振るえませんから、見た目だけです。もっと綺麗でカッコいい風に、構えることが出来たら良かったんですけど。

 

やっぱり、そう簡単には出来ませんね。

 

「母様も剣道しよ?」

 

「……ごめんなさいね、もうちょっと体力と運動神経があれば一緒に出来たんですけど」

 

よしよしと彼女の頭を優しく撫でながら、子供と追いかけっこしたり、一緒に走って蹴鞠や手鞠をする自分を想像し、羨ましく思ってしまう。

 

私は、どうして、こんなに貧弱なの……。

 

 

 

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