某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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抜剣法式 序

しとりの刀集めは姿お兄様の影響というわけではなく、相楽しとりという一人の女の子の持つ太陽のように綺麗な魂に寄ってきているのでしょうね。

 

しかし、妖刀は危険なのです。

 

少し荒療治と言えば良いんですが、しとりの身体の中に大きな鞘を用意し、まだ名前も掴めていない妖刀も深めて両手の爪に「陰陽十干」の術式を刻みます。

 

私は、妖刀をしとりの身体の中に封じ込める方法を取ることにしました。強大な妖刀だということは、しとりも理解していますから……。

 

個魔の方も影の中に妖刀を納めたまま過ごすのはイヤだと言っていましたから、しとりの了承を得て、封印の法式を刻むつもりです。

 

「しとり、怖いですか?」

 

「んーん、怖くないよ?」

 

「……では、右手の親指から刻みますね」

 

私の血を溶かし、混ぜた墨を細筆を浸す。

 

呪法や禁法と違って、歴とした封印術です。正直、なぜ我が家に伝わっているのかも謎ですし、お父様は「そういうこともあるさ!」と笑っていましたけど。

 

十本の刀の(ハバキ)に十干を刻み、納める。

 

一番目(右の親指)は、電光丸です」

 

雷は陰陽五行説の木気。風と雷を内包する属性であり、妖刀れかまいたち」も同じく木気に相当し、左右の指に五行の一角は納まりました。

 

右手は陰陽の「陽」であり、左手は陰陽の「陰」。妖刀の性質も二種類の五行です。

 

似蛭は陰陽五行説の水気。

 

左手の小指に封じ、紅桜は右手の小指です。

 

「ん、身体の中に刀がある」

 

「苦しくないですか?」

 

「ん!大丈夫。四本、入った」

 

両手の爪を見上げ、しとりは笑う。

 

連続して納めましたが、しとりに掛かる負担は大きすぎますし。今回は四本の妖刀だけにしておきましょう。流石に急ぎすぎました。

 

「母様、どうやって抜くの?」

 

「先ず、このように唇を爪に当てて名前を呼べば呼び出す事は出来ます」

 

しとりに見えるように唇を親指に当て、しとりも同じように右手の親指を唇に当てると「電光丸!」と刀の名前を呼べば、彼女の手元に妖刀は出現します。

 

「しとり、この法式は抜剣法式(バッケンほうしき)と言います」

 

「バッケン……」

 

「剣を抜くと書いて、抜剣です」

 

手帳に文字を書いて見せつつ、私はしとりの手を優しく握りしめる。ごめんね、貴女の綺麗な身体に封印術を施すなんて悪い母親です。

 

だけど、きっと貴女を助けてくれます。

 

「ん!バッケン!!」

 

しとりがそう叫ぶと四本の妖刀が飛び出し、しとりの背中で後光の如く円陣を組み、浮遊する。

 

……すみません、それは流石に予想外すぎます。

 

 

 

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