私の役目は終わりを迎えます。
役目と大それたように言っていますが、実際は脇道を整えているだけです。人の歩んでいる道を先導し、誘導するなんていう事は難しい。
モゴモゴと動くミノムシ状のしとりとひとえの二人を見つめる。左之助さんに捕まって、二人とも布団で簀巻きにされてしまっています。
「ん、動けない」
「うごけない!」
モゾモゾと動くひとえ。
「左之助さん、蛮竜の手入れを見るくらい良いんじゃないですか?」
「ダメだ。しとりとひとえの刀に反応して馬鹿みたいに鳴きやがる。戦骨の血とオレの血が混ざった蛮竜が一番求めてるのはソイツらだ」
そう言う蛮竜を握る左之助さんの右手は青白い雷撃がイバラのように絡み付き、雷撃が身体に上ってきているのが見えてしまった。
「めっ!……ですよ」
悪いことをする蛮竜の刀身にポンと手を当てると雷撃は収まり、左之助さんの身体も元に戻りました。ただ、やっぱり危なかったですね。
しかし、本当に困りました。
「左之助さん、大丈夫ですか?」
「……たまに思うんだがよ。景は臆病なのに土壇場で突っ切る癖があるよな」
「は、はあ……そうでしょうか?」
左之助さんの言葉に首を傾げつつ、そんなことはないと二十八年間の人生を振り返り、前世の事も思い出していくもそんな場面はありませんね。
うん、私は暴走癖はありません。
「景、ひとりで頷くなあ?」
「私は暴走したりしませんよ?」
「いや、お前の……なんでもねえ。それより、さっきは助かった。ありがとうな」
ワシャワシャと乱暴に頭を撫でられ、髪の毛がさらに跳ねて、眼鏡が傾いてしまう。眼鏡をかけ直しながら、左之助さんを見る。
やっぱり、かっこいいです。
「…あ、そういや渡したいものがあるんだよ」
「? なんですか?」
「大陸のヤツが作った着物だ」
「大陸?」
「こいつだ!」
バンと出された箱を受けとり、着替えてくるように言われ、寝室の方で着替える途中、着物の違和感に気付きながらも帯を締める。
「(う、うわあ……スリット、えぐい)」
流石に日常的に着用しようとは思えない着物の仕様(赤い飛沫柄もちょっとアレですし)に頬を引き釣らせ、しとりとひとえもいる大広間に戻り、左之助さんの前に立つと満面の笑みでした。
私、もうすぐ三十路なんですけど。
左之助さんはいったい私に何を求めて、こんなものをプレゼントしてくれたんですか?と思ったことを言いそうになりながらも頭を振り、すわりなおす。
「あっ、もう…」
きゅっとずれる裾を直しながら、はみ出てしまう素足に左之助さんの視線が向けられる。
破廉恥なのはいけませんよっ。
「ん!胸がある!」
「寄せてあげるのがコツです、しとり」
まあ、ほぼ布の余りですけど。
ぐすんっ。