指に新しく抜剣法式を施し、しとりは満足げに頷いています。あと二年か三年以内に残り五本の名前も聞き出して貰えると助かります。
「雷、二本…!」
電光丸と舞雷刀を構えたしとりは恐る恐る蛮竜に近付くと三種類の雷撃はお互いを牽制し、絡み付き、雷の輪が生み出される。
しとりのパワーアップは引き続き起こっていますが、ひとえは中々に難しいですね。私の持つ「料理のスキル」という『特典』によって相手の弱点や怪我を視る事ができ、サンピタラカムイ様の加護によって『癒やしの力』を得ています。
病魔を退け、傷を癒やす。
御輿に担ごうとする人は絶対に出てきてしまうでしょうが、ひとえは左之助さん譲りの怪力がありますから、おそらく大丈夫でしょう。
「ひーもほしいなあ」
「お母さんの懐剣はダメですか?」
「もいっこほしいの!」
私の持っていた守り刀の懐剣を帯に差したまま、そう笑って宣言するひとえは欲しがりというより、姉妹でお揃いの物を持っていたいのでしょうね。
とても可愛いです、ソーキュートです。
「ひとえは、まだしとりより小さいですから大きな刀や槍を持つのはダメですけど。ひとえが十を越えたら、北落師門という槍を渡しますね」
「ほんと!!」
「はい。本当です」
「ねーさま、やりもらえた!」
「ん゛ッッッ!!!」
大広間を出てきたしとりは背中に突撃し、抱きついてきたひとえを受け止めきれず、畳の上に寝転んだまま動かなくなりました。
「しとり、腰が痛いんですか?」
「……んっ、鼻も痛い」
ヒリヒリとするのか。
鼻を擦るしとりは目尻に涙を溜めつつ、身体をひっくり返しながらひとえを巻き込み、一緒に転がっていき、ぎゅうっと抱き締め合っています。
「ねーさま、うごけないよ?」
「ん!反省して、お仕置き中!」
「んきゃー!」
ワシャワシャと頭を撫でられ、嬉しそうに笑うひとえを抱き締めたまま「ん!ん!ん!」と手を動かす速度を速めるしとりの事を眺める。
やっぱり、私の娘達は可愛いですね。
「なにしてんだ、あれ?」
「お仕置き中だそうです」
「お仕置きねえ?」
喧嘩屋としての仕事を終えて帰ってきた左之助さんは珍しく鼻血を流していたらしく、ハンカチーフを持って彼の顔に手を伸ばし、背伸びする。
「……あの、屈んで下さい」
「んー、聴こえねえなあ?」
身体を押し付けるように背伸びする度、左之助さんは何だか嬉しそうに笑いつつ、私の背中に手を回して、ゆっくりと腰と太ももの裏に手を回し、抱き上げた。
ちゃんと、屈めるじゃないですか。