左之助さんと娘達に隠していた裁縫部屋を解放し、ちょっとだけ恥ずかしい気持ちになりながらも可愛いコスプレ姿の愛娘達の事を見ることができ、お母さんはとっても幸せです。
でも、漁るのは止めてくださいね。
しとりは小道具の竹光に関心を向け、ひとえは着物や髪留めに興味を持っています。仲良し姉妹ですけど、こういうところは揃わないですね。
悪いことではありませんよ?
「しとり、竹光を持って行っちゃダメですよ」
「ん!振るだけ!」
「折れちゃうと危ないですから、ね?」
そう縁側から中庭に出ようとしていたしとりに伝えると、可能は渋々と竹光を返してくれ。じっと私の傍に置かれた竹光を見てきます。
そんなに珍しい代物ではないんですが、しとりは本当に刀が大好きなんだと分かります。でも、お母さんとしては刀より包丁や料理を好きになってほしいです。
「で、景は何してるんだ?」
「ひとえの採寸です」
「ひーの新しい着物!」
フンスと嬉しそうにするひとえの頭を優しく撫でた左之助さんは私の脇に置かれていた竹光を手に取り、抜くと直ぐに鞘に納めてしまう。
「木の棒か?」
「いえ、竹を鑢で削って作ったもので、着物類は私ですが、小道具はドクトルの作品です」
ドクトル・バタフライの作品と聞けば怪しんでしまうのは仕方ないですが、やっぱり綺麗に作ってくれるのは本当に有り難いことなんですよ?
「父様、わたしにちょうだい」
コテンと可愛らしく小首を傾げて、そう左之助さんにお願いするしとりの姿はとっても可愛いです、ソーキュートです。
「……景、ものすげえ悩むんだが」
「左之助さんの好きにして構いませんよ」
左之助さんは私の言葉を聞いて、すぐにしとりに竹光を渡してしまいました。娘に優しいのは良いことですが、あまり甘やかすのはだめです。
しとりは優しくて賢いです。
とても良い子です。
だからこそ左之助さんは甘やかしちゃうとダメです。左之助さんは叱ってくれますし、怒ってもくれます。でも、甘やかし過ぎるのは良くないです。
私も褒めてほしいです。
「ん!父様も母様も大好き!」
「はい、私も大好きですよお」
「オレも大好きだよ」
「ねーさま、ひーはあ?」
「ん!ひーちゃんも大好き!」
しとりとひとえは、ぎゅーっと抱き合う。
とても可愛いです、ソーキュートです。
「景に似て綺麗に育てよ、お前ら」
「二人のまま大人になってくださいね」
いきなり大人になろうとする必要はありません。あるのは、大人になりたいのかもですけどね。