私の役目はしとりとひとえに渡ります。
並行世界の私と『物語を繋げる能力』を共有し、二つに切り分けたおかげで、身体の不調は少なくないけれど。少しずつ改善しています。
そのおかげで二人に遺し物が出来る。
しとりは私の持っている器物や装飾品、ひとえは私の異能や器物など受け取っています。犬夜叉と殺生丸様のように反発し、いがみ合い、殺し合う事はありませんけど。
二人とも幸せに生きてほしい。
「? 緋村さん、何か左之助さんにご用件ですか?」
「いや、此度は糸色殿でござるよ」
此度もの間違いでは?と思いながらも口には出さず、縁側に腰掛け、倭杖を置く彼の近くに湯呑みを差し出し、お茶請けも近づけます。
「先日、お主とバタフライ殿の会話を聞いたでござるよ。心肺の病、もはや引き返せぬところまで広がっているのでござろう」
「……盗み聞きは感心しませんよ?」
「いやあ、将棋を打ちに来ただけでござるよ」
いつものおっとりとした顔を作る緋村剣心を見る。彼は病気を患った素振りはなく、至って健康的と言える。OVAでは血液感染し、死んでしまう彼が生きているというのは、とても安心できる事です。
因果律の集束点は私に移ったわけです。
「まあ、良いです。私にご用件とのことですけど、また何か疑っているんですか?」
「せっかちなのはダメでござる。が、糸色殿に見てほしいのはこれでござる」
そう言って緋村剣心の差し出したのは古びた刀。もう大抵の事には驚きませんが、どうして私に折れた刀を?と首を傾げていたその時、刃の違和感に気付く。
「逆刃刀?」
「瀬田に折られた逆刃刀をお主の伝で直して欲しい」
人斬り抜刀斎の目を向ける緋村剣心に少し竦み、ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、逆刃刀の刀身の長さ、使い込んだ歴史を見ても間違いありません。
この逆刃刀は流浪人だった時のものです。
しかし、なぜ今になって?
「……分かりました。此方の刀は打ち直して貰います。ですが、その前に聞きます。誰と戦うんです?」
「黒の騎士団と名乗る者が来ていると山県卿に聞いた故。老骨なれど手助けしようと思っただけのこと」
黒の騎士団。
アニメオリジナルの敵だったはずですが、まさか攻めてきたのでしょうか?と悩ましげに首を傾げつつ、緋村剣心を見ると「やはり知っているな」という視線に気付き、さっと視線を逸らした先には左之助さんが居ました。
「面白そうな話じゃねえか」
「左之も来るでござるか?」
「おう」
い、いえ、それは危ないと思います。