某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

1284 / 1289
遺し物作り 破

私の役目はしとりとひとえに渡ります。

 

並行世界の私と『物語を繋げる能力』を共有し、二つに切り分けたおかげで、身体の不調は少なくないけれど。少しずつ改善しています。

 

そのおかげで二人に遺し物が出来る。

 

しとりは私の持っている器物や装飾品、ひとえは私の異能や器物など受け取っています。犬夜叉と殺生丸様のように反発し、いがみ合い、殺し合う事はありませんけど。

 

二人とも幸せに生きてほしい。

 

「? 緋村さん、何か左之助さんにご用件ですか?」

 

「いや、此度は糸色殿でござるよ」

 

此度もの間違いでは?と思いながらも口には出さず、縁側に腰掛け、倭杖を置く彼の近くに湯呑みを差し出し、お茶請けも近づけます。

 

「先日、お主とバタフライ殿の会話を聞いたでござるよ。心肺の病、もはや引き返せぬところまで広がっているのでござろう」

 

「……盗み聞きは感心しませんよ?」

 

「いやあ、将棋を打ちに来ただけでござるよ」

 

いつものおっとりとした顔を作る緋村剣心を見る。彼は病気を患った素振りはなく、至って健康的と言える。OVAでは血液感染し、死んでしまう彼が生きているというのは、とても安心できる事です。

 

因果律の集束点は私に移ったわけです。

 

「まあ、良いです。私にご用件とのことですけど、また何か疑っているんですか?」

 

「せっかちなのはダメでござる。が、糸色殿に見てほしいのはこれでござる」

 

そう言って緋村剣心の差し出したのは古びた刀。もう大抵の事には驚きませんが、どうして私に折れた刀を?と首を傾げていたその時、刃の違和感に気付く。

 

「逆刃刀?」

 

「瀬田に折られた逆刃刀をお主の伝で直して欲しい」

 

人斬り抜刀斎の目を向ける緋村剣心に少し竦み、ゆっくりと深呼吸を繰り返しながら、逆刃刀の刀身の長さ、使い込んだ歴史を見ても間違いありません。

 

この逆刃刀は流浪人だった時のものです。

 

しかし、なぜ今になって?

 

「……分かりました。此方の刀は打ち直して貰います。ですが、その前に聞きます。誰と戦うんです?」

 

「黒の騎士団と名乗る者が来ていると山県卿に聞いた故。老骨なれど手助けしようと思っただけのこと」

 

黒の騎士団。

 

アニメオリジナルの敵だったはずですが、まさか攻めてきたのでしょうか?と悩ましげに首を傾げつつ、緋村剣心を見ると「やはり知っているな」という視線に気付き、さっと視線を逸らした先には左之助さんが居ました。

 

「面白そうな話じゃねえか」

 

「左之も来るでござるか?」

 

「おう」

 

い、いえ、それは危ないと思います。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。