黒の騎士団。
本来は右手を怪我した塚山君の向かう筈だったドイツに存在する「霊薬」を求める騎士団。不老不死の霊薬。「
明治二十四年、検閲は厳しいです。
「剣…!」
「しとり、ダメですよ?」
西洋甲冑を見つめて、その傍らに置かれた西洋剣を見つめるしとりの肩をポンポンと触って、竹刀の替えを買いに来たことを店主に伝えます。
「お嬢さんは稽古熱心だねえ。柄がこんなに早く磨耗するなんて昔の薩摩隼人を思い出すよ」
「ん!きえーだよね?」
猿のごとき叫びは渾身の一撃を振るうため、一切の雑念を取り払うためですね。しとりはよく勉強しています。が、また読めないように置いていた本棚を見ましたね。
「お袋さんもどうだい。竹刀」
「い、いえ、振れませんから…」
ギリギリ、本当にギリギリ構えることは出来ますけど。竹刀を振って動くことは難しい。というより、まともに使えるのかも怪しいんですよね。
「ひーもほしいなあ」
「ちっこいお嬢さんにはまだ早いかねえ」
「むう」
ぷくーっと可愛らしく頬っぺたを膨らませるひとえの頭を優しく撫でてあげ、竹刀の替えを選び終えたしとりはまたしても西洋甲冑を見つめています。
うちにはもう爆心の鎧がありますからね。
「じゃあ、この剣もだめ?」
「…………だめ、です」
なんとか持ちこたえました。
母として頑張りました。
しょんぼりとする姉妹をつれ、帰ります。
うぅ、罪悪感がひどい、ごめんね。
それから夕方、左之助さんが帰ってきました。
「良いもの売ってたぞ!」
そう言って左之助さんが取り出したのは西洋甲冑と短竹刀でした。しとりとひとえは喜んで左之助さんに抱きつくものの、爆心の鎧はジェラシーを寄せています。
一目瞭然。自明の理です。
しかし、左之助さんはどこで?と首を傾げつつ、左之助さんに差し出された甲冑を受け取ったしとりはとても嬉しそうですが、サイズは合ってないですね。
もうちょっとだけ大きくなったらですね。
「景もきてみるか?」
「着ません。重くて立てないでしょうし」
なにより、あんなにも喜んでいるしとりとひとえから取り上げるなんてお母さんには無理です。子供の夢を奪うなんて絶対に出来ません。
左之助さんも出来ないことを押し付けるのはダメですよ?と言えば「お、おお、わかった」とうなずき、私の注意を受け入れてくれました。
やっぱり、これが一番ですね。
すごく安心できます。