某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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西部の入り口へ 破

「GUN BLAZE WEST」の情報を得るために私達は西部の入り口として有名なセントルイスにやって来ていた。左之助さんが原作でも乗っていた愛馬に幌馬車を引いて貰ったおかげで安全に移動できる。

 

それに、しとりも初めての旅に興味津々だ。

 

寝袋やキャンプ用品、他にも色々と積んだ幌馬車を左之助さんに手を借りて御者席に移動し、日本に居たときでも中々に見ない人々の行き交う光景に圧倒され……いや、前世の都心部・東京の方が凄かったわね。

 

「すげえ人だな」

 

「おー!」

 

「しとりも喜んでますね」

 

「流石はオレ達の子だな」

 

ワチャワチャと小さな手を動かして楽しそうにはしゃぐしとりを膝の上に乗せて、フラフラと揺れる馬の尻尾を眺める彼女の頭を撫でてあげる。

 

まだまだ小さくて可愛い私達の子供の成長を確かめることが出来るのも偏にドクトル・バタフライのおかげだ。産後、私は体力の無さと身体の弱さが祟って衰弱し、街のお医者さんにも覚悟を決めるように宣告され、自分の死期を悟っていたけど。

 

いつもの如く、月光を浴びて。

 

突如、私達の家にやって来たドクトル・バタフライは「糸色景、君の人生はまだ終わりではない。私の核鉄、追手から拝借した核鉄を使い、君の回復力を高めたまえ。君の快復まで露払いは私が請け負おう」と全ての核鉄を置き、錬金戦団の送り込んできた十何人もの刺客と戦ってくれた。

 

「景、酒場(サルーン)が二つあるぜ」

 

「古い方にしましょう。キラキラしたのには面倒事が多くて嫌です。それに古い方が美味しいって相場が決まってますから」

 

「確かに、葵屋もボロかったけど美味かったな」

 

あれは趣なのでは?なんて思いながら幌馬車を古い方の手入れは行き届いているけど、少し古びた酒場(サルーン)脇に停めた左之助さんに手を借りて御者席を降りる。

 

「いらっしゃいませ!」

 

「飲み物と飯くれ」

 

「私はお水を貰えれば」

 

「あいあい。お客さん、嫌がらせが来る前に食い終わってくれよぉ?」

 

「嫌がらせ?」

 

気だるそうなマスターの言葉に左之助さんは首を傾げ、彼の話を聞いている最中、うつらうつらとしとりは眠気に誘われ、私の腕の中で眠り始める。

 

あらあら、ミルクがまだですよー?

 

「HEY!こんなボロ酒場に子供連れで来るとは、随分とケチ臭せぇ黄色人種(イエローモンキー)が居たもんだな?」

 

扉を蹴破って入ってきた男達の声で、パチッ!と眠り掛けていたしとりが起きてしまった。まあ、お昼も食べてなかったから良いのかな。

 

「景、しとりの耳塞いでろ」

 

「え?あっ、はい」

 

そうっとしとりの両耳に手のひらを当てて、カウンター側に身体を向けた次の瞬間、私の耳に汚ない男の人の悲鳴と左之助さんの笑い声が聴こえてくる。

 

「お、OH MY GOD!!!」

 

「ひ、ひえぇ…」

 

マスターと接客してくれていた女の子の悲鳴に私は後ろで何が起こっているのか。かなり気になってしまうけど、怖いので振り向く事はない。

 

 

 




【概要用語解説】

本作に登場する単語や転生者に関する用語を少しずつ解説してきます。

【統一された世界】

本作の舞台。

蝶野爆爵を騙る蝶野爆爵の実父たる転生者「ドクトル・バタフライ」の願った「特典」。和月伸宏先生の描いた世界の全てを同一とした世界であり、コラボ・共演した世界も組み込まれるため、藤田和日郎先生の描く「黒博物館」シリーズも同一世界となる。

【転生者】

「糸色景」や「ドクトル・バタフライ」など。

神々の慈悲と慈愛によって生まれ変わった人々であり、転生後の世界で生きていけるように最低二つまで「特典」と呼ばれる技能や技術、武器を授かる。

しかし、神々の認識レベルは曖昧のため与えたスキルは人間には過剰強化であり、「糸色景」の様に「前世の記憶の保持」は「永久的に増える知識」に変異し、彼女の肉体を蝕んでいる。


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