「お客さん、強いんですね」
「おう、日本で二番目には強いぜ!」
バクバクと擂り潰されたガーリックの塗り込んだステーキを頬張って左之助さんは
大食漢の左之助さんがなによりも美味しいご飯が大好きなのは知っているけど。ここまで全力でご飯を食べるのは久しぶりに見る、やっぱりもう少しだけ食料を買い置きしようかな。
「あっ、大変!!」
「また嫌がらせか?」
「違うみたいですよ?」
「……成る程、客引きか。アイツも大変だな」
豆煮込みのスープをスプーンで掬って食べながら私はキャロル・ジョンストンの連れてきたこはアメリカでは珍しい黒髪の少年だった。
彼こそ「るろうに剣心」の二年後のアメリカの西部を舞台に始まる物語「GUN BLAZE WEST」の主人公であり、あのまま連載が続いていれば左之助さんも戦うかも知れない若き
「おお、美味そう!」
「まったく、今日は久々に賑やかになりそうだな。坊主、食いたいもん言いな」
「ステーキ!!」
しかし、私達の目の前にいるのは食い意地の張った普通の男の子にしか見えず……それにドクトル・バタフライの言っていた転生者の介入も気になる。
しとりのスヤスヤと寝息を立てる寝顔を眺めつつ、このまま楽しく危なくない「GUN BLAZE WEST」を目指す旅を続けていけると良いんだけど。
……そういえばサイン・トゥ・ウエストの道具をドクトル・バタフライが置いていったけど。あの人は本当に何処まで世界の事を知っているのだろうか。
「随分と繁盛してるじゃねえか。猿の家族とガキ、こんなんでも金をくれるんだから良かったな、マスター」
「『ターゲット』ケビン…!」
「此方に客が三人、チビも合わせりゃ四人か?まあ、入っていくのが見えてよォ……ウソを吹かれるのは止めに来たぜ。ここのメシ、不味かったかァ?」
「美味かった」
脅しのつもりでテーブルを叩いてビュー・バンズの事を睨み付けていたのに、あっさりと言葉を返されたケビンの顔つきが僅かに歪んだ。
「ア゛ぁーッ、嫌になるぜ。こういうガキがバカみてえに現れるせいで俺はしたくもねえ忠告に出向かねえといけねえなんてよ」
「オレはバカじゃねえ!そんなに忠告がしてえなら
「テメェ、クソガキがッ…!!」
なんだか私の知っている展開と違う気がするけど。
ビュー・バンズに中指を立てて煽られたターゲット・ケビンのホルスターに腕を伸ばした瞬間、投げ縄がケビンの首と腕に、刺突のみに特化した形状の細剣を構えた青年がビュー・バンズの目の前の床に突き刺した。
「食事を楽しむ場で騒ぎを起こすな」
「お客さん、食事は静かにしてくれ」
カウンター奥の扉から出てきたのはキャロル・ジョンストンの実兄であり、ビュー・バンズの仲間になる予定の「
───だけど。
なぜ、ここに彼が?
そう思わずにはいられない。だって、彼は「るろうに剣心」の開幕前、緋村剣心が横浜に居たときに戦った、あの緋村剣心に「速い」と言わせた。
スペインの剣士エスピラール・ロタシオンだ。