軽快な馬の駆ける音に迫られ、逃げた先にあったのは花園だった。青い、蒼い、碧い、草原の生えた場所に私達は立っている。
「遂に見つけたぞ、聖なる霊薬」
うっそりと笑みを浮かべた馬上の男の目は燦々と輝き、ここで戦えるのは緋村剣心だけです。私は、非戦闘員ですし、しとりもひとえも剣路君も子供です。
お父様は能の動きで翻弄していましたが、直接的な攻撃は一度もしていません。お母様も薙刀を構えていますが、お父様に止められています。
「ここは拙者が相手をするでござるよ」
「剣心!?何言ってるのよ!」
「そ、そうですよっ。危ないです!あの馬の側面に有るのは騎乗槍ですし、馬の最高速度で放たれる突きはとても危険なんです!」
「では、尚更でござる」
刀々斎の打ち直した逆刃刀を抜刀し、緩やかに構える緋村剣心に何かを言おうとした次の瞬間、瓦礫を伴って忍者が飛び込んできた。
「なんだ?まだ始まってなかったのか」
「弥彦、おめえ馬鹿力になってねえか?」
「鍛えてはいる」
グルリと肩を回しながら、血に染まった脇腹や足をそのままにやって来た左之助さんと、木刀の峰を右肩に置き、上半身の着物をはだけた明神君がテラスのように加工された岩肌の上に立っている。
「東洋の猿が、足止めもまともに出来んのか」
「ん!おサルさんじゃないよ!」
馬上の男の言葉にしとりは怒りつつ、電光丸を抜こうとするので慌てて止めます。しかし、向こうも三人、此方も三人の構図になりました。
───ですが、くの一がいません。
「剣心、馬の男はオレが代わってやる」
「左之、出来るのでござるか?」
「おうよ。こちとら日本最強の喧嘩屋だ」
いえ、世界最強の喧嘩屋ですね。不破信二と陸奥もいますが、私は左之助さんが一番強くてカッコいいと思っています。
これは絶対です!
そう意気込んでいると視界の端に光るものが見えると私の首が落ちる瞬間が頭の中に流れ、慌ててしゃがむとお母様の薙刀とくの一を小太刀が頭上でしのぎを削っていました。
「ひ、ひぃんっ……!」
薫さんに抱き起こされながら、危うく死にかけていた現実に半泣きになり、情けない泣き声が出てしま──しとりが似蛭を抜き、くの一の肩を斬った。
「母様を殺そうとした。だから殺す!」
「し、しとり、殺しちゃダメですよ?」
「じゃあ、半分殺す!」
それもダメです!と思わず、しとりを抱き締めて似蛭を握る手を覆うもゴクンと血を飲む音が似蛭の刀身から聴こえ、イヤな気配が増すのを感じる。