某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

1307 / 1307
決着 序

しとりの妖刀や魔剣に対する目利きは私よりも高性能です。そのしとりが欲しがるメルダース中尉の剣に私は不安を抱いてしまう。

 

勿論、左之助さんの勝利は信じています。

 

けれど。メルダース中尉もまた妖怪の鎧と魔剣を持っている以上、装備は互角です。あとは左之助さんとメルダース中尉の力量差のみ────。

 

「大丈夫でござるよ。糸色殿」

 

「そうよ、景さん。左之助は負けないわ」

 

緋村剣心と薫さんの言葉に頷き、しとりとひとえの手を握って二人の父親であり、私の夫である左之助さんの事を見つめます。

 

大丈夫だと信じている。

 

「勝負だ、東洋人!」

 

「しゃらくせえっ!」

 

真っ直ぐ心臓を狙った突きを蛮竜の鎬で往なし、三日月状の石突を繰り出す左之助さん。ですが、メルダース中尉は左腕の籠手を盾に使い、蛮竜の一撃を防ぐと同時に切り上げを放つ。

 

が、左之助さんの頬と耳を掠めるだけで致命傷じゃない。裂けた耳を気にする素振りも見せず、蛮竜を振りかぶるように構える彼に、応えるようにメルダース中尉も剣を正中線に構え、剣を上に掲げる。

 

お互いに必殺、足り得る間合い。

 

「うおらあっ!!」

 

「ヌエェアッ!!」

 

衝突、空気が悲鳴を上げる。

 

ギャリギャリと金属の削れる音が響き、みんなが耳を塞ぐ中、私は二人の事を見据える。勝つと信じています。貴方が一番強いんです。

 

「おおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

「うざってぇえっ!!」

 

蛮竜を引いて、剣を弾き上げ、鍔迫り合いを制した左之助さんの右拳がメルダース中尉の顔を殴り抜き、二重の極みの極った独特の快音が重々しく響き、宙を舞っていた鳳凰天舞は地面に突き刺さった。

 

鳳凰天舞。

 

おそらく妖器物とは別系統の代物ですね。

 

「わたしの!」

 

「え?あ、しとり?」

 

「ん!何も持ってない!」

 

「いえ、一応、帰るときに斎藤さんに持っていって良いのかを聞かないといけません。ですから、あちらに落ちている鞘に納めて貰えますか?」

 

「ん!」

 

……しかし、鳳凰天舞ですか。

 

残り九本の聖剣が存在しているのか。あるいは、戦骨がバラ撒いていたのかは謎ですが、少なくとも私のいなくなった後の事を考えて、妖刀や魔剣、聖剣、霊剣などに関する書物を作るべきですね。

 

「景、あの剣について知っているのかい?」

 

「お父様、私は知りませんよ?」

 

「誤魔化すとき、首を傾ける癖は治ってないね」

 

……他にも癖があったんですね、私は。

 

いえ、それよりもみんなの視線がまた私に集まっていることに誰か弁明をしてください。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【完結】何だかんだと恋運ぶ呪いの花(作者:SUN'S)(原作:らんま1/2)

▼【挿絵表示】▼一人は糸色家の娘、二人は本条家の姉弟だ。▼明治最強の血筋を受け継ぐ姉弟と、明治時代から世界屈指の名を連ねる糸色の娘は、これから巻き込まれるドタバタでハチャメチャなラブコメディーに笑い、呆れながらも、時には戦いながら歩んでいく。▼ちなみに姉弟は私の書いた「某剣客浪漫世界で私は物書きをする」および「もしも「るろ剣」の世界に糸色景がいたらのスレ」に…


総合評価:193/評価:6.25/完結:441話/更新日時:2026年07月20日(月) 22:05 小説情報

もしも「るろ剣」の世界に糸色景がいたらのスレ(作者:SUN'S)(原作:るろうに剣心)

「某剣客浪漫世界の物書きお姉さん」が本誌だったら?という感じのスレっぽいやつです。▼【本編】▼https://syosetu.org/novel/327970/▼【黒死の蝶の唯一留まる花】▼https://syosetu.org/novel/381420/▼【風薫る日陰に寄り添う妙花】▼https://syosetu.org/novel/387840/▼【か…


総合評価:991/評価:6.52/短編:407話/更新日時:2026年08月08日(土) 22:35 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3178/評価:6.8/連載:88話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:37 小説情報

小心者、コードギアスの世界を生き残る。(作者:haru970)(原作:コードギアス)

突然『自称神様』に転生か輪廻に吸収される二択を迫られた(方便上の)男は転生を決めた。▼『神様転生だー! しかも特典あり?! イェーイ!』と浮かれるも束の間だった。▼『死亡率の高いコードギアスやんけ?! ブリタニア貴族でハーフでしかもカレンが俺のお嬢様……だと?』▼地雷満載の作品を、小心者は生き残るために覚えている原作知識を振り絞った虚勢を張る。▼そして勘違い…


総合評価:10482/評価:7.43/連載:347話/更新日時:2026年08月03日(月) 07:30 小説情報

冬木アクターズ・ラプソディ ~観光に来た演劇バカの女子大生、うっかり龍之介を轢いてしまったので、キャスターの「ジャンヌ役」として聖杯戦争を完遂します~(作者:斉宮 柴野)(原作:Fate/)

演劇を愛し、演劇に愛された女子大生・聖上真樹(19)。 彼女は観光で訪れた冬木市にて、役作りの練習中に通行人を驚かせ、不運な交通事故を誘発してしまう。 その被害者は、指名手配中の連続殺人鬼・雨生龍之介だった。▼罪悪感(と興奮)に震える彼女の前に現れたのは、奇怪な術衣を纏った目玉の大きな外国人。 彼は涙を流し、真樹を見てこう叫んだ。▼「おお!! ジャンヌ!! …


総合評価:8725/評価:8.55/連載:85話/更新日時:2026年07月30日(木) 23:04 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>