しとりの妖刀や魔剣に対する目利きは私よりも高性能です。そのしとりが欲しがるメルダース中尉の剣に私は不安を抱いてしまう。
勿論、左之助さんの勝利は信じています。
けれど。メルダース中尉もまた妖怪の鎧と魔剣を持っている以上、装備は互角です。あとは左之助さんとメルダース中尉の力量差のみ────。
「大丈夫でござるよ。糸色殿」
「そうよ、景さん。左之助は負けないわ」
緋村剣心と薫さんの言葉に頷き、しとりとひとえの手を握って二人の父親であり、私の夫である左之助さんの事を見つめます。
大丈夫だと信じている。
「勝負だ、東洋人!」
「しゃらくせえっ!」
真っ直ぐ心臓を狙った突きを蛮竜の鎬で往なし、三日月状の石突を繰り出す左之助さん。ですが、メルダース中尉は左腕の籠手を盾に使い、蛮竜の一撃を防ぐと同時に切り上げを放つ。
が、左之助さんの頬と耳を掠めるだけで致命傷じゃない。裂けた耳を気にする素振りも見せず、蛮竜を振りかぶるように構える彼に、応えるようにメルダース中尉も剣を正中線に構え、剣を上に掲げる。
お互いに必殺、足り得る間合い。
「うおらあっ!!」
「ヌエェアッ!!」
衝突、空気が悲鳴を上げる。
ギャリギャリと金属の削れる音が響き、みんなが耳を塞ぐ中、私は二人の事を見据える。勝つと信じています。貴方が一番強いんです。
「おおおおおおおおおおおおっ!!!!」
「うざってぇえっ!!」
蛮竜を引いて、剣を弾き上げ、鍔迫り合いを制した左之助さんの右拳がメルダース中尉の顔を殴り抜き、二重の極みの極った独特の快音が重々しく響き、宙を舞っていた鳳凰天舞は地面に突き刺さった。
鳳凰天舞。
おそらく妖器物とは別系統の代物ですね。
「わたしの!」
「え?あ、しとり?」
「ん!何も持ってない!」
「いえ、一応、帰るときに斎藤さんに持っていって良いのかを聞かないといけません。ですから、あちらに落ちている鞘に納めて貰えますか?」
「ん!」
……しかし、鳳凰天舞ですか。
残り九本の聖剣が存在しているのか。あるいは、戦骨がバラ撒いていたのかは謎ですが、少なくとも私のいなくなった後の事を考えて、妖刀や魔剣、聖剣、霊剣などに関する書物を作るべきですね。
「景、あの剣について知っているのかい?」
「お父様、私は知りませんよ?」
「誤魔化すとき、首を傾ける癖は治ってないね」
……他にも癖があったんですね、私は。
いえ、それよりもみんなの視線がまた私に集まっていることに誰か弁明をしてください。