諏訪湖の地下を出て、酸欠気味だった肺に新鮮な空気を取り込んだ後、私は倒れたそうです。恵さんにも「何日も休まずに働いていたの?過労よ、お馬鹿」と言われてしまいました。
申し訳ないことをしたと反省しつつ、お粥と梅干しを食べて恵さんの診察を受け、ドクトル・バタフライの診断も受けています。
二人の名医に診断を受けると、やはり私は過労によって心身疲弊していたらしく、あまり無茶を続けるのはダメだと怒られた。
そんなつもりはないんですけど。
「ん、おいひいれふ」
モグモグとお粥を咀嚼する私は口許を隠しながら、恵さんの診療所にいるのですが、左之助さんにスプーンで食べさせて貰うのは少し恥ずかしいです。
「梅干し、足すか?」
「い、いえ、大丈夫です」
お粥を半分ほど食べ終えたところに、また梅干しを食べさせようとしてくる左之助さんに苦笑を浮かべ、もうお腹がいっぱいですと伝える。
流石に、もう苦しいです。
「景、本当に大丈夫なのか、その」
「少しだけ、無理をしてしまいましたけど。まだ大丈夫ですよ。ほら、ちゃんと動いています」
ゆっくりと左之助さんの頭を優しく抱き締めて、小さく鼓動を繰り返す心臓の音を聞かせてあげる。ちゃんと心臓は動いていますから、ね?
信じて貰えるのかは不安だけど。
私は生きているんですよ?
「……あの、臭いを嗅がないで貰えますか?」
「甘い匂いがする」
「……ハレンチ」
ペチペチと左之助さんの頭を優しく叩き、そう言いながら左之助さんの頭を優しく撫でてあげる。私に出きることはこれぐらいです。
しかし、左之助さんさ毎日お見舞いに来てくれるのは嬉しいですけど。────とは言え、あまり近すぎるのはダメですね。
「ん…ッ、あ、あれ?…ん!」
「もうちょっとだけ、だめか?」
「……その顔はずるいです」
私に抱き着いたまま、そう言ってきた左之助さんの事を抱き締めたままベッドに倒れ、左之助さんは私を押し倒すような姿勢になります。
「景、元気になってくれよ」
「はい、元気になるつもりです」
そう言ってくれる左之助さんの顔が近づいてきたところに恵さんのビンタが左之助さんに命中し、いきなりのことに左之助さんもビックリしていますね。
やっぱり、聞いていたんですね。
「絶対安静って言ったわよね。お馬鹿」
「……ちょっとだけだ」
「あんたみたいな体力馬鹿と今の景さんが合うわけないでしょう。失神して昏倒するのが分かりきっている患者を見捨てると思っているのかしら?」
そ、そこまでなんですね、わたし。