某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

131 / 1066
銃と剣は交差する 序

騒々しく怒鳴っていたターゲット・ケビンは雇い主の登場で酒場(サルーン)を立ち去っていくが、あの目付きは何かを企んでいる目付きだ。

 

尤も西部のアウトローは武田観柳にも劣る程の素行の悪さと自分の強さに酔っている様にも見える。稀に自分の矜持や誇りのために生きている人はいるものの、左之助さんみたいに生き様を貫いている人は早々居ない。

 

「先程は手荒な所を御見せした」

 

「い、いえ、私は大丈夫です。お兄ちゃんもありがとう!」

 

「私としとりも守って頂き、ありがとうございます。左之助さん、強そうだからって喧嘩を売っちゃダメですよ?助けてくれたんですから」

 

「わ、分かってるって。剣心みてえに速かったから懐かしくてよ」

 

そう言って左之助さんが私の言葉に応えてくれた瞬間、エスピラール・ロタシオンの目付きと雰囲気がガラリと変わり、剣呑な雰囲気を纏う。

 

「その剣心とは、緋村剣心の事か」

 

「……へえ、アンタも剣心を知ってるクチか」

 

「嗚呼、道を逸れていた私に剣士としての道を思い出させてくれた恩人であり、守るべきものを守る強さを教えてくれた大切な友だ」

 

「なら、オレと同じだな」

 

すうっと笑顔で右手を差し出す左之助さんに微笑みを返して右手を握り返すエスピラール・ロタシオンの呟いた守るべきものって……まさか?

 

「エスピラールさん、いきなり走っていきましたけど。急患ですか?」

 

ひょっこりと酒場(サルーン)の出入り口に現れたペスト医師を彷彿とさせる嘴の仮面を着けた金髪の人に左之助さんはビックリしている。

 

まあ、初見だとビックリするわよね。

 

しかし、やはり私の前世の記憶に残っている若き天才医師エルダー・ピーベリーなのは間違いない。漫画だと一人で渡米していたけど、どうやら彼らは令和版・原案版の二人のようだ。

 

チラリと私達のやり取りしている間に少し揉めているウィル・ジョンストンとビュー・バンズの二人に視線を向ける。此方も此方で少し大変な事になりそうね。

 

「まあ、流浪人さんのお友だち!」

 

「おう。まあ、ウチのカミさんはちょいと勘違いされてた時期もあるがな」

 

「あの、左之助さん?それは初耳なんですが…」

 

「そりゃあ言ってねえからな?剣心のヤツも不思議だよな、『やはり糸色殿は拙者の過去だけでなく、これまでの騒動に必ず関わっている。まさか?』なんて考え込みながら呟いててよォ…」

 

お、終わった。

 

いくら左之助さんの妻で、一児の母といえど緋村剣心に怪しまれるなんて完全に私の人生は終わった。……いや、まだ日本に帰るまで残り三年後までに勘違いが忘れられていれば大丈夫のはずだわ。

 

うんうん、そうに決まっているわ。

 

 

 

 




【概要用語解説】

本作の単語や転生者に関する事を解説します。

【相楽景】

旧姓「糸色」。
年齢は数え年の15歳(現在17歳)。身長150cm。
「さよなら絶望先生」に登場する糸色家の祖先の一人として生誕した転生者。悲観的・悲劇的・悲運的・不運的・絶望的、生まれ変わった世界に対して、いつも怯えていた超不安思考の女性。茶色がかった癖毛の黒髪、近視・乱視の低視力、体力は皆無に等しく、子供にも負けるほど。自分のプロポーションに自信がなく、貧相な身体だと自認している。が、一人の妻として、一児の母として頑張っている。


転生する際に選んだ「特典」は「前世の記憶の保持」と「料理のスキル」。


一つ目の特典「前世の記憶の保持」は彼女の肉体の虚弱さと引き換えにして「永久的に前世の知識を与え続ける」というものに変質しており、人間の身体に無理やりスーパーコンピューターを外付けしている様な状態に等しく、生きていることが奇跡と言える。

二つ目の特典「料理のスキル」は広義的な意味合いとして付与されており、彼女が料理と認識してしまえば家庭料理から兵器開発まで簡単に行える。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。