半月ほど経過しました。
鳳凰天舞はしとりのものになりました。が、既に左右十指には妖刀を封印しているため、新しく身体の中に納める事は難しいです。
「ん!」
「あの?」
「ん!」
「うぅ、柄頭でお母さんをツンツンするのはやめてください。刀を今さら外すなんて出来ませんし、素肌に法式を書くのはもっとダメですから、ね?」
「じゃあ、舌もだめなの?」
べーっ、と舌を出すしとりに「女の子がしちゃダメな事ですよ、もうっ」と言いつつ、しとりの舌先を出した顔に剣路君が鼻血を流すところを見てしまった。
「? けんちゃん、どうしたの?」
「な、なんでもないよ、しとり」
「(剣路君はムッツリさんなのでしょうか?)」
そんな疑問を抱きつつ、しとりの口許をチラチラと見る剣路君に「マセガキ」と左之助さんは呆れ、しとりとひとえは不思議そうに舌を、べーっ、と出す。
やめましょうね、それは?
二人の頬っぺたを一回ずつ、両手で挟むように触り、舌を戻すように伝えます。そちらに関することも教えないとですね。
しかし、悩ましいです。
「お前ら、母ちゃんに心配かけるなよぉ?」
「ん!」
「あい!」
元気に頷いてくれるのは嬉しいですけど。私のほうが二人に心配させている気がします。いえ、実際にそうなんでしょうね。
「剣路、晩飯食ってくか?」
「……おじさん、嫌がらせしない?」
「しねえよ。オレを何だと思ってんだ」
でも、していいならしそうです。
左之助さんはドエス・サディストを信仰しているようかもと思えるほど虐めっ子気質ですし、妻としては流石にそろそろ限界がですね……。
「オレが虐めるのは景だけだ」
「……おばちゃん…」
「あ、あはは……」
剣路君に可哀想なものを見るように見られ、ものすごく悲しい気持ちになりながらも「左之助さんの冗談ですからね。剣路君」とだけ伝えました。
そうしないと、ちょっとだけ困ります。
私は良いんですけど。左之助さんに風評被害が起こるのはダメです。
「剣路君もしとりを虐めちゃダメですよ?」
「うん」
「母様、わたしのほうがけんちゃんより強いよ!」
「フフ、そうですねえ」
よしよしとしとりの頭を撫でつつ、頭を撫でて貰えなくて不満そうにしているひとえの頭も優しく撫でてあげると満足してくれました。
やっぱり、可愛いです。ソーキュートです。
「けんちゃんも撫でてあげる!」
「い、いや、いーよっ」
「ん!わたしに勝ってから反論して!」
ワシャワシャと抱き込むように頭を撫で始めるしとりに「魔性の女になりそうだぜ」と呟き、私の事を見る左之助さんに首を傾げる。